「何かを選ぶことは、選ばない何かを選ぶことーー」
こんにちは、Mistirです。
バイク旅の話ですが、できれば色んな方に読んで頂きたいです。
というのも……
これは、あまりにも情けない告白なので。
誰でも良いからすがりたい、そんな気分でこの記事を書くのです。
さて。
昨日、伊豆に行ってきた。
やっとバイク用の防寒グッズが全て揃ったから、久々に長距離のツーリングだ。
下田のあたり。
初めてだった。
本気で、帰りたくなくなった。
場所に呪われてしまうということ
昨年5月に免許を取って以来、9ヶ月で13000キロ走っていた。
東京から200キロ圏内の有名なツーリングスポットは大体走った、と思う。
房総半島。
日光。
有名な華厳の滝。
とにかく、色々なところに行った。
でも。
伊豆のみ、伊豆でのみ、いつもいつも思ってしまう。
「帰りたくない」と。
「ここに住みたい」と。
理由は分からない。
でも、何か強烈に心を掴んで放さない何かがあるんだと思う。
夜、下田から折り返した僕は「道の駅伊東マリンタウン」で露天風呂に入った後、休憩室で飲むヨーグルトを飲みながら休憩していた。
仮眠を取って、交通の少ない深夜に埼玉まで帰る予定だった。
次の日が晴れの予定だったら、ネットカフェにでも泊まって二日間のツーリングにしたかったが、生憎の雨の予定だった。
「道の駅伊東マリンタウン」は、伊豆半島の東側、伊東の海沿いにある大規模な道の駅だ。
レストランもたくさんあって、何より最高なのが日帰り温泉だ。
雰囲気も凄く良い。
漁港と一体化してて、それもまた一つ観る価値のあるスポットになっている。
夏の昼にこの漁港から水面を覗き込んだことがあるのだけれど、たくさんの魚が目視できた。
なんだか泣きたくなったことを覚えている。
話を戻して。
僕は、休憩室で一休みしていた。
考えた。
この「ここに住みたい」という気持ちは何なのだろうか?
瞬間的な衝動?
今の仕事からどこかに「逃げたい」というのと同じ気持ち?
冷静に、伊豆半島に移住した場合のメリットとデメリットを考えてみる。
僕は今、埼玉県でSEをしている。
本社は東京なのだが、いわゆる客先常駐の形態だ。
常駐が長くなりそうだったので、最初上京したのだけれど、一年で埼玉県に引っ越してしまった。
今、東京にすぐ出られるところに住んでいる。
此処にいれば、幾らでもITの勉強ができるだろう。
イベントには事欠かない。
でも、同時に。
僕はSEの仕事を「そこまで強くは」魅力に思っていない。
「悪くないな」とさえ思っていない。
「最悪ではないな」とは思っている。
決して最悪では、ない。
ちょっとしたルーティーンでも僕は耐えられないから、ルーティーンとは遠いところにあるという意味だけでも、まあそれなりに自分にフィットはしているのかもしれない。
それに、ITは自分自身にインストールする「武器」だ。
その武器を磨く生き方そのものは、自分自身とそうアンマッチしていない。
でも。
もしも。
もし、伊豆に移住したならば何が起こるのだろう?
伊豆でもエンジニアに転職するという方法があるだろうか。
でも、その場合選択肢はここに残るよりもガッと狭まるだろうな。
正直エンジニアを続けたいって気持ちはあまりないし。
じゃあ何か別のことをする?
伊豆で何か別のことをしている自分が想像つかないな。
結局、伊豆をユートピアとみなしてるだけなんじゃないか。
埼玉ではなくて、もっと自分が楽しめる「架空の場」。
理想ばかり「伊豆」という空間に押し付けているのではないか。
……いや、それは違う。
それだったら、場所はどこでも良いはずだ。僕は色々な場所に行ったけど……
ここまで「帰りたくない」って強く思うのは……伊豆半島だけだ。
少なくとも何かが、僕を惹き付けているのは間違いないのだ。
……いっそのこと。
全てから降りてしまうのはどうだ。
例えば、最低限稼げるバイトだけやって、細々と延々と伊豆で生きていく。
極めて現代的な生き方じゃないか。
将来の不安?結婚したらどうするんだ?
知った事か。
もう、「正社員でずっと身を粉にしてればとりあえず安心」って時代でもないだろう。
僕は僕の、僕だけの納得を、最適解を追求したいのだ。
埼玉やら東京に残ることで得られる安心が、なんだっていうんだ。
それは、伊豆よりも価値があるのか。
……わからなくなりました。
全く、わからなくなりました。
僕は自由のはずです。
適切なやり方で仕事を辞めて適切なやり方で伊豆に移住して、適切なやり方で働いて自分で生きていく、それは「何ら不思議なこと」じゃない。
そう、「何ら不思議なことじゃない」……ただの、一つの、選択だ。
この歳まで、一度も現れなかった、……ただの、「選択」。
大学を出る前は、なんだかんだで「東京で就職するか」「地元で就職するか」という選択肢しかなかった。
お金の問題で、大学院には残れなかった。
残ろうとしたこともあったけど、それを実現するための量のバイトを実際にやってみて、結構普通に絶望した。
無理だ、と思った。
だから、そこにあった、残った選択肢の中から物事を選んだ。
今まで、わりと大きな選択もしてきたと思う。
バイクの免許を取ろう、と思ったら次の週には自動車教習所に行っていた。10万円のローンにサインしてちょっと後悔した。
引っ越ししよう、と思ったら次の月には全て終わっていた。ボーナスは吹き飛んだ。
でも。
人生を変えるような、本質的な、……人生の「骨格」そのものに影響するような「選択」は、もしかしたら未だにしたことがなかったんじゃないか?
高校を選ぶのは簡単だ。なるべく難しいところに入ればいい。
大学を選ぶのは簡単だ。なるべく難しいところに入ればいい。せっかくだから、面白そうな某名門大を目指すぜ。落ちたけど。
こんなクソみたいな性格だと大企業は合わないから小さくて合いそうなトコロ入るぜ。色々予想外はあったけど想定の範疇だぜ。
……
何かを選ぶこと。
何かを決めること。
何かを選ばないこと。
何かを決めないこと。
何かを選ばないことを、選ぶこと。
何かを手放すことを、選ぶこと。
そういったことの難しさが。
今の僕に、途方もない重さでのしかかっている。
誰か僕に教えてくれたか。
人生の決め方を、教えてくれたか。
……「それくらい、自分で決めろ、愚か者」
その通り。その通りだ。分かってる。
分かってるけど。
本当に、みんな選んでるのか?
そうやって生きてるのか?
本当に、本当に……選んでるのか?
そんな重さに耐えながら、みんな生きてるのか?
……
だれか一億円くれ!!!!
……
その後、一眠りしてから埼玉まで4時間ほどかけて帰りました。
また来よう。何度でも来れる。
でも。
来るだけじゃ満足できなくなる日が来る日も、そう遠くはない気がしている。
お読み頂きありがとうございました。
ではまた次の記事で。