こんにちは、Mistirです。
僕は東京で働くエンジニアなのだが、たまに何もかもを投げ出したくなるときがある。
技術屋としてあまり前向きにやれてる気はしていないし、たまに何もかも投げ出したくなる。
そうでなくても半年ほど前から引きずっている女性関係のトラウマと、モテなさを拗らせすぎて僕の心は痛み続けていた。
おまけに急性腸炎で身体もボロボロだった。
そんなとき、僕はとりあえず伊豆半島までバイクで行くことにしている。
明確な理由があるわけではないのだが、「いつここに引っ越して、ここでやり直してもいい」と思うため……といえば一番分かり易いだろうか。
ということで今週末、やっと回復してきた身体を引きずって伊豆半島までツーリングに行ってきたのだが、思わぬ収穫があった。
自分の中にあった大きな呪いに気付いた。ある呪いは解け、また別の呪いに気付いた。
今回はそんなお話。実は伊豆半島自体はほぼ関係ない。
僕の中にあった呪い
呪いの話に入る前に、まず僕がずっと悩んでいたことを話す必要がある。
僕は本当のところ、何一つ好きなものがないのではないか、ということだ。
趣味はバイクとアニメと漫画と映画と読書……とは言っているが、本当のところどれも「好き」なのかよく分からない。
僕の認識だと「暇つぶしに描いたイラストをTwitterにアップロードしてる漫画家」とか、あの辺りはもう確実に「絵が好き」と言えるのだろうと考えているが、その基準で言うならば僕に「好きなもの」などない。
……という話をすると必ず友人には「お前の『好き』のハードルは高すぎる」と言われるのだが、実際自分の中に実感が沸かないのだから仕方がない。
極論かもしれないが僕の中で「色々なものがうっすら好き」は「色々なものがうっすら嫌い」とほぼ同じ意味で、「色々なものにうっすら興味がある」ことは「色々なことにいまいち興味がない」ことと同じ意味なのだ。
このことは論理的なものではなく、僕の中の感覚によるものなので深い意味はない。
ただ、僕は確実にここに書いたような実感を抱いて生きている。
だから僕は飲み会のとき、ほとんど本気でこんなことを言う。
「僕が本気で好きなことなんて、食べることと寝ることとエロいことだけですよ」と。
「なんでわざわざそんなアピールしてんだ?」と思われるかもしれない。
簡単な話だ。
僕は色んな人から「バイク好き」として扱われたり、「好奇心旺盛」として扱われやすいのである。好きなように生きてる、とも。
そして性格が面倒くさいため、それを放ったらかしにできず、どうしても否定してしまうのだ。
「僕の『これ』は好奇心が旺盛だからやってるんじゃない。『悪あがき』なんですよ」と。
僕の行動原理はほぼ全て「悪あがき」なのだ。
この感覚は分かってくれる人だけ分かってくれればいい。
読書なんかその極致で、僕は「読書なんてやらなくていいならやりたくない」と思っている。
だけど読んどかないと怖いから読んでるだけなのだ。
これで読書好きを名乗るのは心底おこがましいというか、おぞましい。
……と、そのような前提があって。
そんな「前提」の中に、「呪い」があったと気付いたのが今日の話だ。
ヤツがこっちを見ていた
宿であるライダーハウスまで向かう途中、道の駅・伊豆ゲートウェイ函南で休憩を取ることにした。
伊豆ゲートウェイ函南にはセブン-イレブンがある。
そこで僕は適当にコーヒーを探していた。
ふと雑誌コーナーをみると、ヤツがこっちを見ていた。
(146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2018/03/28
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ホリエモンである。
まぁよく見ると別にこっち見てないけど。ちょっと左見てるけど。
僕はホリエモンの本を結構よく読んでいる。
対極の生き方をしているが、同時に結構共鳴できることがあるからだ。
ここに引用したけれど、勝手に「死ぬことが怖い仲間」だと思っている。
で。
僕はコンビニでこっちを見ている(見てない) ホリエモンの顔を見て、思った。
「……ムカつくなぁw」と。
そして思った。
「……なんでムカつくんだ?」
……。
思えば、僕の人生にはムカつく人たちばかりいる。
名前は出さないけどホリエモンだけじゃなくて、……なんというか、「ムカつく」人たちがいっぱいいる。
要するに、その「ムカつく」は (便宜的にこの言葉を使うとするならば)「意識高い人たち」に対する「ムカつく」と一致している。
……だがそもそも「意識高い人たち」は何故ムカつくのだ?
たまに「意識高い『系』」の人たちについて、「自分の実力もないのにデキるように装ってるからムカつく」といったように語られることがある。
確かに一理ある。
だけど実際問題、ホリエモンは確実に「実力者」だし、並大抵の精神力じゃないと思う。
ホリエモンは炎上しやすいタイプだ。
その「炎上」が「ムカつく」理由だろうか?
「炎上ばっかしてるくせにエラソーなこと言うなよ」と僕は思ったのだろうか?
例えば「保育士は誰でもできる」って言ったり、議論を積み重ねて意見を提示するよりも著しく結論までのスピード感を重視するタイプだから、炎上しやすいってのは分かる。
だけどそれはホリエモンの弱点であり長所だから、僕が「ムカつく」と思ったこととはあまり関係ない。
……考えた。
考えて、考えて、考えて、考えて。
気づいた。
……
ああ。
僕はホリエモンが、羨ましいんだ。
好き勝手生きて、あるいは前向きに生きて、稼ぎたいんだ。
そしてそれができない自分が、嫌いなんだ。
コンプレックスだったんだ。
「意識の高い人」が、前向きに生きている人が、稼いでいる人が、ムカつく。
それは彼らがゴリゴリと僕のコンプレックスを刺激してくるからだったんだ。
話は変わるけど、僕は7年ほど前に京都大学を受験した。
そして落ちた。
それからわりとみんな大手企業に行く大学に入った。
何故僕は京都大学に入ろうと思ったのか?
「京大なら文学部でも余裕で就職できるだろう」と思ったからだ。
そして悠々と卒業式でコスプレすることに憧れた。
そもそもこの時点で結構(この言葉はあまり使いたくないのだけれど) 「不純」だ。
僕は高校の頃からずっと思っていた。
僕は哲学を勉強する、そしてさっさと「大企業に入ったらベストな人生」みたいな競争から降りる、と。
「お金に執着するしょうもない人生は嫌だ」と。
こっちはベッタベタだけど、「不純」ってほどでもないだろう。
そして大学に入ってもそれは変わらなかった。
僕は中途半端な文学青年として大学生活を過ごした。
圧倒的に中途半端な文学青年として。本は全然読んでいなかった。
就活のとき。
僕は「僕には大企業は合わないよ」と嘯きながら、それでも初任給28万、住宅補助6万の某企業の最終面接まで行ったときは全ての主義主張を曲げてその企業に入りたいと思ってしまった。思った。
まぁ落ちたのだけれど。
もはやここまでくると「純粋」なのか「不純」なのか、わけがわからない。
……僕は、気付いていなかったのだ。
要するに。
結局僕は途方もなく俗だった。どうしようもなく、俗だった。
「純粋」でも「不純」でもない。「俗」だったのだ。
文学青年でも哲学青年でもなかった。
否、あるいは……
中途半端な文学青年というのは、この世で最も回りくどい、そして強烈な俗物なのかもしれない。
そしてさらに考えた。
「何故僕は稼ぎたい?」
「そもそも僕は何故、預金残高がこんな悲惨なことになっている?」
そしてたどり着いた。
途方もなくしょうもない、そして同時に、途方もなく衝撃的な事実。
「僕はお金が好きだったんだ……」
厳密に言えば、「お金」と「お金を使うこと」。
僕は基本的に金遣いが荒い。
ただ、「好きなことに使っている」実感はなく、
「中途半端なツーリングをしたくない」
「日常を少しずつアップデートしたい」
「それなりにいいものを食べたい」
「楽しく酒を飲みたい」
を満たしているだけで、気付いたら月々給料分くらいは使っている。
……それは、結局「お金を使うことそのもの」が好きだったからなんだ。
何故気付かなかったのだろう。
本当に衝撃的だった。
「好きなもの、あるじゃねえか!!!!寝ることと食べることとエロいこと以外に!!!!!」
本当に、本当に衝撃的だったのだ。
「呪いが解けた」気分だった。
そしてお金のことを何も知らないことに気付いた。
それは多分……呪いだったのだ。
もう一つの、ややこしい呪い。
僕の影
僕の実家は、未だにネットを引いていない。僕はかろうじてガラケーだけ使えるようになって、もはや死後となったiモードでネットをやっていた。
僕の仕事はIT系エンジニアである。
僕の両親は離婚して、母方の実家で僕は過ごしていた。
母は途方もなく保守的な人で、僕が危険なことをすることを全く許さない人だった。
僕の趣味はバイクだ。最近ボクシングを始めた。
僕の母に「投資」なんていう言葉はない。かろうじて銀行はあるようだが、株どころか社会そのものに興味がないような人だった。
「余計なものは絶対に買わない」。倹約を美徳にしていたわけではないが、結果的に相当な倹約家になっていた人だった。
そして僕はお金を使うことが大好きなことに気付いた。
……。
別に、復讐したいわけじゃない。ましてや嫌がらせでもなんでもない。
結果的にこうなってしまっていただけだ。
母の教育は効果的だったから、ある時期までは頑なに「バイクなんて危険だから乗るべきじゃない」って思ってたわけで。
「……でも、乗れるとしたら?」という「何か」が首をもたげたら、それが爆発的な勢いで発達してしまった。
それだけの話だと思っている。
お金の話も同じだ。
「ずっとそれに関心を持つべきじゃない」と、心のどこかで考えていたのだと思う。
ウチは決して裕福な家庭じゃない。
その割には僕を大学に行かせるために凄く頑張ってくれたと思う。
そのことには、大いに感謝している。
気付いたら、僕は何故か……いつの間にか、僕がその状態を脱却するビジョンを、一切持てなくなっていた。
結果的に、今の僕の趣味嗜好が、生き方が「正しい」ものなのかなんて分からないし、そもそも「正しい」「間違ってる」という価値判断が無効なものなのだと思う。
ただ、少し思うのだ。
「ホリエモンとか経営者の本ばかり読んで、投資の知識や経営の知識を大量に身に着けて……もし金持ちになれたとして。そんな僕を見た母はどう思うんだろうか?」と。
ああ、なるほど。
これも「コンプレックス」か。
僕の呪いは物凄く根深いらしい。
笑えてくる。
……書ききってから母がなんだか死んでるみたいに書いてることに気付いたけど、母は元気に存命である。
前のゴールデンウィークもちゃんと帰省しているのでご安心ください。
そして繰り返すようだけど恨みつらみは一切ない。恨まれることはあろうけれど。
今後のこと
僕Mistir!お金大好き!誰か5000兆円振り込んで!!!!
……とかなんとか叫んだトコロで預金残高が増えるわけじゃない。
ボーナスはもうすぐ出るが、それにしても破滅的な預金残高だ。
さあここから全額投資だ!株買うぜ!ビットコ買うぜ!馬券買うぜ!!!
……なんて急に頭の悪い人になるつもりもない。
ばなな
ただ単純に、「好きなものなのに何一つ知らないのって嫌だな」って思えただけで大進歩なのだ。
僕はお金のことについて、多分何も知らない。
「ああ、好きなものに気付けた。好きなもののことを、何も知らないことに気づけた」。
今のところはそれだけで十分なのだ。
……それはそれとして誰か5000兆円振り込んでくれないかな、という気持ちは別にして。
なんとなく今後は会社での資格祝い金狙いも容赦なくなりそうな気がする。今まであまり気乗りがしなかったのだけれど。
ホリエモンの本ももっといっぱいフラットに読んでみよっかな。
一冊一冊、結構短い時間で読めるんだよね。
この『ゼロ』なんかは多分普段ホリエモンのことが嫌いな人もフラットに読めるいい本だと思う。
……そしてさっそく読んでみた「こっちを見てる本」については……
(146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2018/03/28
- メディア: 新書
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ちょっと運営してる集団(月会費1万円) の宣伝がしつこいかな。
……ああダメダメ、「1万円で経験できるなら安い」とか思うな僕。そういうとこやぞ。
あと「好きなことで生きていく」議論ってものっっっっっっっっっっ凄い難しいことだと思ってて、「生存バイアス」に関する議論を避けて通れないから、ここでこの本について深く語るつもりはない。
【追記】
上の感想、完全に読んだ本を間違えてました……
こっちの本の感想です。申し訳ないです……素で間違えてました……
【追記ここまで】
……と、こんな感じで色々読んでみたい。
僕には知識が少なすぎる。
でも、今はそれでいい。
十分だ。
これでしばらく、生きる理由ができた。
稼ぐまで、死んでたまるか。
泥をすすってでも生きて稼いでやる。
お読み頂き、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。