この記事は、ガチ恋を恐れ30歳になるまで一度もライブというものを経験したことのない筆者が、いざライブに行くとどうなっちゃったのかを綴ったものである。
当記事ではClariS HALL CONCERT 2022 〜 Let's Snow Parade ! 〜の詳細については書かない。
ClariSを知る、知らないを問わず、「限界オタクが限界オタクの対象である歌手のコンサートに赴き、どのようなことになったのか」という、その生々しい反応を感じて頂けると幸いである。
前提として、筆者はClariSの限界オタクである。
2018年辺り、サブスクでいろいろなアニソンを聴いていたのだが、『はたらく細胞』のEDである『CheerS』を聴き、その際にカップリング曲である『ねがい』を聴いて惚れてしまったのがすべての始まりだ。*1
そしてClariSの曲を片っ端から聴くようになり、気付いたらこんなことになっていた。
ClariSは10年以上活動しているアーティストなので、筆者は決して古参ファンではなく、むしろ新参者である。
それでも結構熱を持って聴き込んでいたという自負があり、たまに好きが高じて綴っていた怪文書記事について古参ファンの方々からも時折評価を頂き、その都度ニッコリしていた。
……と言っても、
- ミニマリスト気質
- 人混みが苦手過ぎる
- イベントとかも苦手
- 極度の自由主義者ゆえに拘束されることが苦手
そして何より、
- ガチ恋しちゃうのが怖い(距離感がバグりそうで)
などの理由から、ライブに行くことは避けていた。
ClariSに限らず、コンサートやライブというものの経験が生まれてこの方なかった。*2
この怪文書記事にその経緯は詳しく記載している。
まあ、とにかく……
筆者にとってClariSは一人静かに聴き、エモに浸り、時折怪文書を書く、それくらいの距離感がちょうど良いと思っていたのだ。
話は変わるが筆者は個人事業主で、隔週金曜日は働いていない。
本日2022年12月16日(金)は、ふるさと納税で買ったオイルランタンが届いたこともあり、冬の山に一人こもり、火を眺め、スマホの電源を切り、凍えながら眠ることで静寂と生きている実感を味わおうか悩んでいた。
そんな中、前日木曜に知人から運命の連絡が来た。
「知り合いの知り合いがClariSのライブチケットが余って困ってるから行けないか?」と。
フォロワーさんでどなたか私と一緒に行ける方いらっしゃいませんか?相方が体調不良でこれなくなりました😢
— 舞台挨拶が好きなのよ。 (@5vVbQ5oMwtTXfpm) 2022年12月14日
ファンクラブ先行のチケットです。相互の方優先致します。
■ClariS HALL CONCERT 2022
■12/16(金) TOKYO DOME CITY HALL【開演18:30】
■開場: 17:30
詳しくはDMくださいませ。#ClariS pic.twitter.com/iGl6jb9GKh
その際筆者は古巣の会社の同僚と飲み会をしていた。
『聖剣使いの禁呪詠唱』はクソアニメなのか神アニメなのか神クソアニメなのか激論を交わしたり、『宇宙よりも遠い場所』視聴を途中で切ったという元同僚に「貴様は人間ではない」と判決を下したりと、非常に楽しく酩酊していた。
そんな中、知人からの急な申し出に非常に困惑したのだが、キャンプはいつでも行けることと、二日酔いで多分明日はキツイこと、そして何より……
この機会を逃すと確実に後悔するという気持ちから、決断に時間はかからなかった。
「知人の知人の知人」である"舞台挨拶が好きなのよ"氏(通称ブタイ氏)に連絡を取り、ご快諾頂いたので、同行させて頂くことになった。
二日酔い、そして「私どうなっちゃうの?」という恐怖を抱え、東京ドームシティに向かう……!
合流〜開演
物販開始の2時半頃にブタイ氏と合流し、物販に向かう。
行列に並び、今日来れなかった「知人の知人」の方へのお土産と、自分のためにキーホルダーを買う。
もうこの時点でシステムがいまひとつ分からなかったことと、人の多さが苦手過ぎたので少々疲れてしまった。
そして開場時間まで近くのカフェででも時間を潰そうと思ったのだが、Sexy Zoneのライブとバッティングしていたようで、近場のお店は見渡す限り女性まみれ……
筆者は既にグロッキー気味になっていた。
冬山に引きこもりたくなった。
だがまだ何も始まっていないので隣駅の神保町のドトールで精神統一しながら待った。
なんやかんや時が来たので、人混みのキツさに抗いながら入場する。
かなり前の方の席であり、素人目にも非常に恵まれていることを感じた。
そこでブタイ氏のご厚意によりペンライトを貸して頂いた。
と言っても筆者は先述の通り極度の自由主義者であり、周りに適合ができなかったからという理由で二度も会社を辞めたような人間である。
そのため周りに合わせてペンライトを振る……という行為について、正直なところピンと来ていなかった。
困惑しながらも、時間が来る。
そして幕が上がる……!
ゴルゴタの丘にて
さて、早速ですがクイズです。
生のClariSを見た筆者の反応はいかなるものだったでしょうか。
- 感慨に浸る
- 泣く
- 奇声を発する
- 爆笑する
正解はー……?
4でしたー!!!!!
1分くらい笑い止まらなかったよね。
「ええ……嘘やろ……人間ってこんな『華がある』存在になれるもんなん……?」
って。
MVのまんまの人が、まんまの声帯をひっさげて、まんまの華々しさで出てきたんやもん。
いやもう、なんていうか神々しかったよね。
女神だったよね。
ところで筆者は大学の頃ジョルジュ・バタイユと彼の宗教観について学んだ。
フランスの思想家で小説家であるバタイユは、梅毒を患い知性を失った獣のような父の姿を見て、そこにいわゆるキリスト教的考え方とは異なる「宗教的体験」の原点を見る。
……何の話やねん急に、と思われたかもしれないが。
筆者にとって(アンチ)宗教性……もっと言えば無神論は大学の専攻にしたくなるほどのテーマの一つだったのだ。
そんな筆者が思っちゃったよね。
「これが……これが信仰……!」
尊み突破して崇めちゃったもん。
ガチ恋?
むしろ無理、恐れ多い。
「えっ、この人らほんまにパジャマとか着て寝るの?歯とか磨くの?ご飯食べるの?」っていう感情を抱いた。
そう。
「アイドルは排泄しない」とか、そういうのの向こう側に一気に行ってしまったのである。
いや、言い訳させて……
それくらい一曲目からして華々しかったんですよ……!
「ビジネスにおいてカリスマ性はどれくらい重要なのか」とか、結構仕事してるとき考えたりするけど、もう「カリスマ性」とかの向こう側だったね。アレは。
ゴルゴタの丘でキリストの復活を見た当時の人らの気持ち、こんなんだったんだろうな……
しかも声帯もCD音源通りというか下手するとそれより通ってねえか、ってくらいだったし、ダンスもキレッキレ。
これが……これが本物のプロ!!!!!
畏怖やら崇拝やら色んな感情で頭がグラグラしていた。
ペンライトの役割
そして、筆者はペンライトの役割を理解する。
ここまで書いた文脈から、聡明な読者諸兄は既に察していると思うが……
アレ、十字架だったんだな。
キリスト教徒の方々にとっての。
……宗教についてきっちりした知識があると胸を張れるわけではないので、引用を用いたい。
十字架の役割は、
十字架を見て、キリストが私のために死んでくれた、ということを「イメージする助け」として、そこに十字架があります。
だそうだ。
ペンライトがアーティストを「イメージする助け」かというとそうではないと思う。
ただ、僕がペンライトを握りしめる感情と姿は、祈りの際に十字架を握りしめるキリスト教徒と、おそらくそう大きな差異は無いはずなのだ。
……なんかポルノグラフィティの歌詞みたいだな……。
……要するに。
キリスト教徒はキリストの存在、行為について「イメージする助け」として十字架を介在させ、時にそこに思いを込め、祈る。
ライブに通うファンは、アーティストとの間に存在する数少ない「接点」として、ペンライトを中空に掲げ介在させ、そこに思いを込め、祈る。
そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!(強引)
そしてペンライトには同時にもう一つ、非常に大きな役割がある。
それは祈りの際の十字架の役割とも重なるんだけど……
アースなんだな、要は。
アース線は大地(地球)に電気の回路をつなぎ、万が一電流が漏れてしまった場合に、その電流を地面に流す役割を果たしています。
つまり、エモというかなんというか、感情が限界まで高ぶってるのに、ライブという会場だとどうしてもその発露が難しい。
溢れそうになる。
それを一手に引き受けているのがあのペンライトだったんだな。
ごめんよペンライト、ごめんよペンライトを振る人たち。
正直全然あなた方のこと理解してなかったよ。
僕も仲間に入れておくれよ。
次は自費で買うからさ。二本。
総評
ClariS、マジで凄い。
2時間以上ずっと楽しませて貰った。
夢の中にいるようだった。
「人とはここまでなれるものなのか」と考えると2周くらい周って落ち込むので、アレはやっぱり神の類を観たのだと思う。
「俺はClariSの音楽性が好きなんだよ!」との主張は今後も続けるが、あそこまで華やかなパフォーマンス、キレッキレのダンスを総合的に観せられると、魅せられないという方が無理がある。
なのでひねくれず今後は身を委ねることにしたい。
今、急性過エモ摂取症候群で頭痛が酷く、帰り道ラーメンを食べ、なんとか帰宅して気合いを入れこの記事を書いた。
正直次にライブを行くとかはまだ考えられない。
けれどなんかもう……なんか……うん。
なんだろう。
言葉にできないいろんな感情を抱えながら、とりあえず今日はぶっ倒れようと思う。
そしてこれだけは言っておこう。
ClariS、クララとカレン、そしてスタッフの人たち、ありがとう……!
個別の曲や演出等の具体的感想は、今度元気なら別途書こうと思う。
そしてこの場を借りて、最高の機会をくださったブタイ氏に改めてお礼を申し上げたい。
ありがとうございました!
ではまた。
【追記】
具体的な感想も書きました。