旅を続ける またゼロに戻っても
Fhána『Zero』
タイトル通りである。
4年間乗ったZ900RSからCRF250 RALLYに乗り換えた。
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あまりこのブログでバイクのことは書いていないのだが、筆者は身長161cmのバイク乗りであり、どちらのバイクも気になっている人が多いと思う。
色々書けそうなので、記憶が消えないうちに残しておくことにしたい。
Z900RSを手放した理由
まず大前提を述べておく。
Z900RSは、バイク史上屈指の名車である。
本当の本当に、名車である。
伝説のバイクであるZ1, Z2をオマージュした外装、パワフルすぎないが十分以上に速いエンジン、軽量な車体、積載に困らない広い座面、カスタムパーツの豊富さ、十分なタンク容量、意外な燃費の良さ、安っぽさを微塵も感じさせない仕上がり、温故知新であり最高の仕上がりのメーター。
良いところを挙げていけば果てがない。
筆者は以下のようなバイクが苦手だ。
……妙に高いシート高、マスの集中化か知らんけど妙に小さくてバッグすら乗せられないタンデムシート、小さなタンク容量、どこで使うんやそれというパワー、取り回しに苦労するクソデカさ……
もちろんケースバイケースでそういったバイクのほうが有利なシチュエーションもあるだろう。
だが、Z900RSはそういった方向性のバイクとは真逆の方向を向いていて、かつどのようなケースでも必ず高得点を取っていく。
筆者は名車であるCB1000SF T2をオマージュし、ビキニカウルと赤のサスペンションを取り付けていた。その他めちゃくちゃカスタマイズしていた。
また、広いシートの座面はキャンプバッグを取り付けても安定している。
こんなバイクに不満など覚えようが無いのだ。
だが……
筆者はノリで名車、ロードスターを買ってしまったのだ。
Z900RSの用途としてはピャーッと走って現地に向かい、ピャーッと帰ることが多かった。
ロードスターは完全上位互換になってしまったのである。
バイクは車より楽しい。
だがロードスターも十分楽しく、Zを5点だとするとロードスターで4.5点くらいの楽しさはあり、しかも他の要素……例えば快適性だとか積載性、雨耐性などは(バイクにしか乗ってこなかった人間目線だと)満点なのである。
ただ、こんなことを思うのはそもそもバイクツーリングに、あるいはZ900RSというバイクに飽きてしまっていたのだと思う。
思えばZ900RSというバイクは大型バイクとしては非常に気軽で手軽なのだが、率先して細道や一般道、足場の悪い峠を走ろうと思えるバイクではなかった。
ある程度広い幅のある道を速いペースで流すことが楽しいバイクなのだ。
そしてそのような道はそうそう多いわけではない。
高速で目的地にピャーッと行って飲んで寝てピャーッと帰るだけのツーリングが増えてしまっていたことと、そのようなバイク特性は無関係では無かったと思う。
そして繰り返しになるが、そのような用途であればロードスターで必要十分以上なのである。
これはちょっとバイクライフそのものを見直さないといけないな、という気になった。
となってくると小排気量、しかもオフローダーに注目することは当然の流れと言える。
ということで、かなり勇気のいる決断ではあったのだがZを犠牲にCRFを召喚することにした。
そして納車1ヶ月で3000km強走った。
納車されて約1週間後、埼玉から新潟まで自走で走り、北海道を走り回り、青森から埼玉県まで10時間以上かけて自走で帰った。
ちょっとした狂気だなと我ながら思う。
そして良いところも悪いところもよく見えてきた。
CRF250 RALLY 比較とインプレ
一般道走行
Z900RSとCRF250 RALLY(以下Z, CRFとする)を比較する人間などそうそういないだろうが、あえて言えばこの一言に集約される。
軽い。
あまりにも軽い。
なんせZが215kg、CRFが153kgである。
60kg以上の差がある。
だが、車重以上の差を感じる。
ハンドリング、アクセルの回り方。
当然すぎることだが250ccと1000cc近くのバイクだと違いすぎる。
唐突ながら当方の愛車遍歴はこれで5台目であり、歴代は
- YAMAHA MT-03(1年強 13000kmほど)
- SUZUKI GSX-S1000F(1年強 20000kmほど)
- SUZUKI GSX-R600(約半年 10000km弱?)
- KAWASAKI Z900RS(約4年 44000kmほど)
である。
なのでこれまでの4台で最も軽いバイクは初代の320cc YAMAHA MT-03なのだが、記憶が正しければ明らかにCRFのほうがハンドリング等諸々軽い。
車重自体はそこまで変わらないが、MT-03のハンドリングは軽かったとは言え、ここまでの軽さではなかったように記憶している。
細道や一般道は明らかにZよりもCRFの方が楽しい。
きちっとバイクを道具として使っている、という感じがする。
Zは「乗せてもらっていた」という感じだったが、CRFは「走っている」という感じである。
また、Zはほぼパーフェクトでクセが少ないバイクなのだが、ハンドリングには少々のクセがあった。「ハンドルが切れ込む」とたまにインプレで言われているのがそれだと思う。
あまり意識するほどのことではないのだが、曲がる際に少々緊張感があったのはそれが原因だと思われる。
CRFでは「一般道の速度では」という前提ではあるが、そのような緊張感はほぼない。
スィーッと曲がっていく感じ。
一般道でのパワー不足なども特に感じない。
そもそも50ccのスーパーカブでも30km制限とは言え人を乗せて道を走れるのだ。
キャンプに向いていると言われる125ccのCT125 ハンターカブの9馬力で十分キャンプ用具を積んだツーリングができるのだ。
CRFの153kg 24馬力で不足がそうそうあるわけがない。
じゃあZの111馬力って一体なんなんだよ、という感じではあるが……
購入当初の理想が「箱に適当に荷物を突っ込んで気軽に適当に走る」ことだったので上の写真にもある通り箱をセットしているが、これが重いだとか気になるということも全く無く、軽快に走ることができている。
ちなみにZに箱をつけることも不可能ではないのだが、それをやったら負けだと思っていた。
やっぱり箱をつけるならアドベンチャー系のバイクが良い。
そして軽さは気軽さに直結する。
Zでは億劫で行かなかった道に積極的に寄り道ができるようになった。
「ちょっと行ってみるか」ができる。
バイクを買ったばかりの頃のワクワク感を取り戻すことができた。
これだけでもZから買い替えて良かったと思う。
足つき
筆者は161cmの成人男性である。
芸能人で言えばほぼ濱田岳である。
なおアマプラで濱田岳がバイクで日本を走るドラマが配信中である。
閑話休題。
そんな人間の足つきチェックほど参考になるものはないだろう。
で、試乗も含めて過去に乗ったバイクについて足つきが良い順に並べてみようと思う。
滅茶苦茶前に乗ったバイクも含まれるので、記憶が曖昧なものもある。
あくまでも参考と思って頂きたい。
また、言い換えるとここに書いたバイクは筆者でもなんとか乗れたということだ。
- GSX-R250
- MT-03
- CBR250RR
- Ninja650
- GSX-R600
- Z900RS
- CB1100
- GSX-S1000F
- CB1300SB
- Ninja1000
- CRF250 RALLY(ノーマルタイプ)
- ヒマラヤ450
- ZX-6R
- カタナ(新型)
- GSX-R1000
- Vストローム650
おそらくVストローム650以上のバイクは常用できない。
ZX-6Rあたりでギリいけるかな……それ以上はちょっとキツイかも……でもまだ乗れる、という感じだった。
なお、意外なことにGSX-R600は滅茶苦茶足つきが良い。
シートも柔らかくてびっくりした。
じゃあなんで早く手放したかって言うと前傾が思ったより腰に悪かったからである。
足つきに話を戻す。
たまに「脚がギリギリでも付けばバイクは乗れる」みたいなことを言う人間がいるが、そういう人間はだいたい身長が160後半あったりする。
遺憾の意を表明したい。
ちゃうねん、と。
確かに乗れる。
けど、Vストローム650くらいのシート高になると、サイドスタンドが起こせないんだよ。座った状態で。
気軽にサイドスタンドを安定して払えないバイクで色んなところに寄り道したり、砂利道に入って一休みしたりする気になると思うか?
ならねえんだよ(ガチギレ)
で、↑の表でわかると思うんだけれど、いわゆるアドベンチャーツアラーについては筆者は全滅である。
テネレ700(シート高875mm)?
ふざけんなイメージすらできねえよ。
話を戻すと、↑の順位表にある通りCRFはSモデルではないノーマルモデルにせよ、足つきがそこまで良くない。数値として830mmあるので当然と言えば当然だ。
よくレビューに「サスが沈むから足つきは悪くない」とか言われてるけれど、普通に悪い。
Ninja1000より悪い、というのはNinja1000に乗ったのが滅茶苦茶前なのでさすがに記憶違いかもしれないが……
まあただ、CRFに乗るのが苦痛かというとそれほどでもない。
乗るときにちょっとしたコツがあり、サスを沈めるために右側に体重をかけてあげて、右足を接地させてから起こすようにすると案外普通に操ることができる。
上の表にあるバイクに乗れる人なら余裕で乗れるだろう。
Vストローム650も乗ったのは5年以上前なので、そういった体重のかけ方等、乗り方に慣れるともう少し足つきが良いかもしれない。
ただ当時はサイドスタンドを本当にギリギリで払えた、という記憶がある。
余談となるが、Webの記事は「シートがスリムだから数値ほど足つきは悪くない」という文言で溢れている。
大半のバイクにそのような内容が書かれている。
シート高850mmを超えるようなバイクにさえ書かれている。
……
その脚ちぎってやろうか……
高速走行
多分CRFに関して大体の人が気になっているのが、高速道路の走行性能だと思う。
Zに関してはもう言うまでもないだろう。時速240km出るバイクだぜ?
新東名120km区間の右車線でも余裕ですわ。
で、CRFに関してはメーターで110km巡航は「まあできる」という感じ。
それ以上の巡航はあまりやりたくない。
怖い。
怖いのである。
ここがCRFの最大の問題点……というか。
本当に当たり前すぎる話なのだが。
CRFという250ccバイクに乗り換える前、最大の懸念点は「パワー不足」だった。
確かにそれも問題ではある。
が、思ったよりちゃんとパワーは出てくれる。
そこじゃないのだ。
問題は……
安定性の無さ、である。
軽さとのトレードオフで、風に滅茶苦茶弱いのである。
また、激やわサス、オフロードタイヤその他の組み合わせで、110kmとかで走っていると離陸しそうになる。
怖い。
怖いと、疲れる。
その状態で進路変更は滅茶苦茶怖い。
タイヤはオンよりのタイヤに履き換えることで多少改善した。
あとはサスも変えて、マフラーも変えたら改善されるか……?という気はするが、20万くらいかかるので悩ましいところである。
いっそ400cc以上に戻したほうが良くね?と納車1ヶ月にも関わらず思ってしまうポイントだ。
その他
燃費などもバチクソ良い。
下道だけで高めのギアで走ればリッター40km近く走る。
まあ結構回して乗ってたら30km前後になるが……
それでもZがせいぜいリッター22km前後、しかもハイオクだったので雲泥の差だ。
あと当然250ccなので車検がない。
それから欠点と言われている「サイドスタンドが立ちすぎている」はあまり気にならなかった。
Zの頃からカスタムのし過ぎで車高がやや下がっており、立ち気味のサイドスタンドに慣れていたからかもしれない。
まだキャンプ用具をフル積載していないので、今度改めて確認の予定である。
積載が適度な状態であればサイドスタンドの長さは割と適度だと思っている。
一方でここで書いたような不安定に起因する怖さがあり、足つきも良いわけではないので「人生1台目のバイク」としてCRFはあまりオススメしない。
もちろん林道に突っ込んで積極的にキャンプをしたい、など目的が明確なら全然問題ないと思う。
一方、最初のバイクにZ900RSは、大型免許は必要だがアリどころか最適解ですらあると思う。
細道に積極的に入る気にはなれないとは書いたが、決して「入れない」ではなく、どこでも走れる懐の広さがある。
ゆっくり走るのはあまり楽しくないバイクだとは思うが、じゃあゆっくり走れないかと言うと全然そんなことはない。
シートが硬いと言われているが身長が足りているならハイシートに変えれば良い。
ハンドル幅が広すぎると言われているがハンドルを変えれば良い。*1
Z900RSは、オフロードを除いてバイクの全部が入ってるって言っても過言ではないと思う。
筆者のように変にこじらせない限りはもうこれ買っとけば間違いない、と断言しても良い。
まとめ?
CRFの良さは軽いことであり、悪さは軽いことである。
本当にそうなのである。
この軽さが圧倒的楽しさを招いていて、この軽さが圧倒的怖さに変わる時がある。
バイクというやつは本当にトレードオフだ。
完璧なバイクは存在しないのだ。
買い替えたばかりだが、このメリット・デメリットをどうするかを考えあぐねている。
この軽さに起因する楽しさは捨てがたいのだが、あまりバイクで「恐怖」を覚えたくない。
また、CRFを購入したときは林道に突っ込むことも考えていたのだが、林道というやつは一人で突っ込むと想像を遥かに絶する恐怖感がある。
舗装林道以上の道は無理だなコレ、と気付いてしまった。
あと林道に一緒に行けるような友達もいねえ!
一人で行くのは本当に危険だと思う。
いつクマがやってくるかも分からない。
となると自分の理想のバイクは「旅のワクワク感がありながらも、高速走行が怖くなく、オンロードがあくまでもメインでオフロードは多少走れればOK、それでいて気軽に扱えるバイク」とより明確になったのでもう少しオン寄りのミドルアドベンチャーに再度乗り換えるという手もあるのだが……
以下の条件を満たすバイクがあまりない。
- 割と軽い(理想は200kg以下)
- 低身長でも扱いやすいデカさ
- 悪路にも強い
- ワクワク感がある
- 箱が似合う
- できれば国産で丈夫
- 長時間乗っていても体が痛くならない*2
8割以上当てはまっているのがホンダの400X、NX400、CL500、ヒマラヤ450くらいしかない。
NX400は試乗してみて非常に良くはあったのだが、ド優等生のオンロードバイクって感じで正直あまりワクワクしない。
見た目は400Xの方が好みだが、それにしてもCRFのこの激軽さから乗り換えるほどワクワクするか……?という感もある。
ヒマラヤ450はすごくワクワク感のあるバイクだ。
だが試乗*3してみて気付いたのだが、車重以上に重さを感じる、かなりのドッシリ系ツアラーだ。
またサイドスタンドがかなり寝ていて、起こすのに相当な気合を必要とする。
あと車格的にもZ900RSに近いものがあり、ここに乗り換えてしまうとZ900RSから降りた意味が薄くないか?と思ってしまった。
ただエンジンフィーリングは最高に良い。いつまでも走っていたくなるようなエンジンだった。これはZとの明確な差異なので、未だに乗り換えを検討している。
CL500を思いっきりカスタムして乗ってみても楽しそうだが、どうしてもアドベンチャーっぽさがないというか、箱はあまり似合いそうにない。
いっそテネレ700等のクソデカアドベンチャーを徹底的にローダウンして乗るという手もある。
テネレ700は見た目がかなり好きだ。
バチクソにローダウンしてくれるサービスもあるようだし。
ただ、大柄な人ですらデカいというようなバイクをわざわざ筆者のような人間が選ぶ必要はあるか?という気もする。
ハンドルやその他諸々も体に合わせたくなりそうだし、色々いじっているうちに原型が消えそうだ。
トランザルプ750あたりはハンドル幅が適度に狭く、自分の体にも合いそうだ。
ノーマルのルックスはあまり好みとは言えないものの、アクラポビッチのマフラーに変えるとすごくかっこよく見える。
NX400と見た目が似ているけれどこちらのほうが好みに見えるのは、やっぱりスポークホイールとオフ寄りのタイヤが大きそうである。
なのでトランザルプは結構惹かれるものがあるのだが、今は↑にあるような黒などの好きなカラーが出てないし、しばらく見送りかな……
色々考えたが結局CRFは高速走行の怖さ以外悪いところがあまりないのでしばらくは乗り続けようかと思っている。
怖さに関してもカスタムで改善する可能性があるし。
……と、「自分にとって理想のバイクとは何か?」と滅茶苦茶考えることになり、バイクへの情熱が今凄い勢いで戻りつつある。
やっぱZで少し「バイク」というものに飽きちゃってたんだな、と買い替えて改めて気付いた次第である。
言い換えると、「飽きるまで楽しませてくれた」ということである。
本当に、本当に良いバイクだった。
なお買ったばかりのロードスター君が泣いているが、真冬にスノータイヤを履かせて帰省に使うのでむしろ今後は大活躍の予定である。
おまけ
最後にCRFの購入に合わせてバイクグッズを大量に買ったのだが紹介する。
まずスロットルアシスト。これで排気量が50ccは上がった感じになる。
「自力でスロットルを大きく回し続けないといけない」というのは想像以上にバイクのパワーを下方に感じさせる要因となる。
それからZETAのハンドガードとプロテクター。スクードプロテクターはデカすぎるかな?とも思ったが、ステッカーなど貼ってみてなんだかんだかっこよくなったかなと思っている。
ハンドルは最初からやや幅が狭いものに付け替えた。試乗の際よりもなんとなく乗りやすくなった気がする。
インカムも古くなっていたので買い替えた。
先代モデルを使っていたのだが、USB Cに対応していたり、耳に当たるスポンジが改善したりしていて大改良されていた。大満足だった。
ソロツーリングなら間違いなくこれで十分だ。
某社のエントリーモデルより電池の保ちも良いし。
キャリアはエンデュランス。10kgまで耐えてくれる。明らかにそれ以上耐えてくれそうな丈夫さがある。
ボックスはモトボワットBB。アルミではない軽量なもので、かつ中国の良くわからんメーカーではなく日本の老舗メーカーというところが気に入った。買ってみたところ今のところ大満足である。*4
タイヤはややオン寄りのGP410。
高速の恐怖が多少和らいだ。なお純正タイヤはメルカリに出したらすぐ売れた。
おまけの後の余談
ここのところブログに書く内容がブレまくっているが、旅と内省と雑談の三本に絞っていこうと思っている。今しばらく適当にお付き合いください。