Midnight Note

明日はどこまで行こうか

身長161cmのクソデカバイクライフ【CRF1100L インプレッション】

この記事を全ての身長に悩むライダーに捧げます。

さて、ここのところ時折ブログにて「クソでかいバイクを買った」と述べていた。
結論から言ってしまうが、6代目のバイク……

CRF1100L アフリカツインを買った。

サイズ感がわかりにくいと思うが、筆者と身長がほぼ同じバイクジャーナリストの小林ゆきさんと一緒に映るとこうなる。

www.youtube.com

でっかいね♡

しかもこのバイクはシート高を調整できるのだが、筆者はハイポジション、高いモード(830mm)で乗っている。

なんでわざわざこんなクソでかいバイクを選び、シート高を上げてまで乗っているのか。
見栄か。
反骨精神か。
マゾヒズムなのか。

どれも違う。
一言で言えば、必然である。

経緯

筆者は現在約10年ほど経験のあるライダーである。
5代目のバイクはCRF250 Rallyだったのだが、このバイクには弱点があった。

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それは最大の長所でもある。
「軽さ」だ。

よく「排気量のないバイクは疲れる」と言われる。
だが別にフルマラソンやら筋トレのような疲れ方ではない。
結局のところ何が疲れるのかというと「精神」なのだ。

少しでも風が強くなると、風への恐怖が心を占める。
特に僕の場合は納車1ヶ月で3000km走る距離感ガバガバ人間である。
必然的に恐怖を覚える時間が非常に長くなり、遠出が億劫になっていった。
これは大型バイクであるZ900RSから中型のCRF250Rallyに乗り換える際にはあまり深く考えていなかった部分だった。
「スピードが遅くてもまあスロットル開けてりゃ着くでしょ」と。

中型バイクに乗るのはかなり久々だったので「そうだ、軽いバイクって怖いんだった」と気付くのが遅れたわけだ。

それに正直なところ、Z900RSという111馬力のバイクに慣れてしまった自分にとって、CRF250Rallyのパワーは十分とは言い難かった。
もちろん250ccとは思えないくらい走ってくれたのは間違いない。
風の無い日にメーター読みで時速80km-100kmで巡航するのは余裕だった。
SP忠男のフルエキに変えてからはさらに余裕度が高かった。

www.sptadao.co.jp

だが、どうしても……
でかくて高速が怖くないバイクに戻りたい、という気持ちは拭えなかった。

一方で林道遊びの楽しさにも気づきかけていたので、林道に行けることは必須だった。

重いバイクになるとガチ林道は厳しくなるが、そもそもガチ林道に一人で行くべきではないと考えていたのでそれはあまり問題にならなかった。
一方で「一人で行けるくらいのライトな林道でたまに遊べる程度」は必須だと考えていた。

そしてCRF250Rallyではでかいリアボックスをつけていたのだが、これがすこぶる便利で、次のバイクもこういった箱が似合うことは必須だと考えていた。
必然的にアドベンチャータイプになる。




ここまでの条件を整理しよう。ざっくりと、

  1. 高速巡航が楽で怖くない
  2. 林道に行ける
  3. リアボックスが似合う無骨さ

である。

結論から言おう。
これらを満たす現行バイクは、ほぼ例外なく全てクソでかい。

例えばスクランブラー400xなんかは1と2を満たすが、3を満たさない。
かなり珍しいミドルクラスアドベンチャーのヒマラヤ450はとある事情で選ばなかった。それは後述する。

www.royalenfield.co.jp

アフリカツインとの出会い

さて、条件を満たす中の最有力候補のバイクがあった。
テネレ700である。

www.yamaha-motor.co.jp

今年2025年の3月末にモデルチェンジした、ガチオフロード大型バイクである。
そしてびっくりするレベルの低身長お断りモデルでもある。
実はローモデルに気合で試乗してみたのだが……

一言で言って乗れる気がしなかった。
いや、限界まで脚を伸ばしてなんとかギリギリ、という感じである。
それにレンタルした店舗の周りが渋滞まみれでロクに楽しめず、足つき問題でさっさと帰りたい気持ちもあって、全く良い印象を覚えなかった。

ただ、実はかなりローダウンする方法もあり……

www.youtube.com

この動画でテネレに乗っている吉田選手は自分よりも小柄である。
……まあバチクソ上手い人なのであまりアテにならないのだが。
というのも僕と同じ身長の原田哲也もテネレに乗っているのだが、軽く乗りこなしている。

www.youtube.com自分には無理だと思ったのであまりアテにならないのだ。*1

まあとにかく、吉田選手が乗っているのと同じローダウンしたテネレに乗るのはアリかと考えつつ、ただ、

  • そろそろテネレの新型が発売しそうであること(当時は発売日発表前だった)
  • 新型にこのローダウンが適合するかわからなかったこと

のあたりから購入は見送っていた。

そして先述したヒマラヤ450だが、こちらも試乗してみたところ確かにフィーリングは悪くなかった。
だが、妙に重かったのである。
車重は195kgだが、本当に?というレベルで重かった。
これは傾きすぎたスタンドのせいかと思い、後日色々なバイクが展示している箱根のバイカーズパラダイスで腰に当てて起こしてみた。
……やっぱり重い。
おそらく重心位置が高すぎるのだと思う。

それならわざわざ450ccのバイクに乗る必要はないな、と思っていた。

そして同日、箱根のバイカーズパラダイスで運命の出会いを果たす。
それがCRF1100L アフリカツイン……

ではなく。
同じエンジンを搭載したNT1100である。

www.honda.co.jp

おもむろに飾ってあった。
デカい。
変な笑いが出てくる。

こんなの乗れねーだろな。
と思いつつ、またがりOKだったので起こしてみる。

電流が走った。
車重195kgのヒマラヤ450より軽かったのである。

足つきの問題もあるだろう。
NT1100の方がヒマラヤ450よりシート高が低い。
だがそれだけじゃない。
明らかに「こっちのほうが扱いやすい」という感覚を覚えた。

ということは……?
同じエンジンを積んだアフリカツインも……?

今更だが、CRF1100L アフリカツインの説明をしよう。

www.honda.co.jp

クソデカくてアフリカとか走れるヤバいバイクである。
以上。

……というのは酷すぎるので、詳しく知りたい方はこちらを読んで頂くとして。

bike-lineage.org

  • とにかくでかい
  • かっこいい
  • オフロードも走れる
  • なんかやたら装備が豪華
  • なんかおっちゃんがよく乗ってる

そんなイメージのバイクで、乗ってる今もそれは事実だと思っている。

CRF250Rallyからの乗り換えを考えるとき候補には一瞬上がるのだが「こんなデカいバイク扱えるわけねーだろ」と考え、最終候補には上がらない、そんなバイクだった。
実写を見たことはあったが本当にでかい。

だが、NT1100にまたがってみてだんだん頭から離れなくなった。
高級バイクだが、そもそもテネレをローダウンしてグリップヒーターなどをつけていたら同じくらいの価格にはなる。
値段はもはやネックではなかった。
どうせローンだしな……。

とりあえず試乗に行ってみることにした。
クソデカバイクのレンタルである。
緊張しないわけがない。

感想を端的に言うと、「俺このバイク5年くらい乗ってるのかな?」だった。
乗りやすい、フレンドリーっていう言葉だと物足りない。

もうこれしかない、と思った。
気づいたら買ってた。

2月に納車。
6月現在、既に7000km走りました。
大半が未舗装路の四国の剣山スーパー林道、約87kmも制覇してきた。
通行止め解除されたてで土砂崩れ跡を走らなければならないなどのシチュエーションもあり死ぬかと思ったが、なんとか生還した。

もう俺はこのバイクのことしか考えられない。

インプレッション

前置きが3000文字になってしまったのでここからはあっさりにしよう。
だってもうこれ以外言うことほとんど無いのだから。

乗りやすい。
本当に本当に乗りやすい。

Z900RSなんかは1速で加速しようものなら人を殺すような勢いがあった。
だがこのバイクは1速でも全然ギクシャクせず結構な速度域まで走れてしまう。
現に長距離のダートを走るときには1速でゴリゴリ走っている。
モードが4モードから選べるので一番穏やかなモードにはしているが、それも役に立つ。

なんというか、4気筒大型バイクは全て「乗せてやるからしがみついてろ」みたいな感じがあった。

初めてだった。
大型バイクで「相棒」だと思ったのは。
それくらい手足に近い感覚がある。

10年も乗っているとバイクに速さやスタイリッシュさを求めなくなってくる。
……のは全員ではないと思っているが、そういう人は結構多いと思っている。
気負わず走れて、速さを追う必要もない。
そんなバイクをどこか求めていた自分にあまりに合っている。

おっちゃんがよく乗っている印象なのはそのせいだろう。
もう必死こいて峠を攻める、みたいな乗り方は良いやってなった人のためのバイク。
まあ単純に高いので最後に行き着くってのもあるとは思うが……

良さが分かるのに時間がかかるというか、経験を要するのは間違いないと思う。
バイク歴1年でこんなデカいバイクにわざわざ乗りたいと思う人は少ないだろう。

だが、何台も乗ると分かるようになる。

思ったとおりに操れる。
好きなように走り止まり曲がる。
これ以上何が必要だろうか。*2

とは言いつつ、自分の体に合わせる工夫はしている。
例えばハンドルがクソ広いので、小柄の自分は腕を広げる必要があり、背中が疲れる。
これはzetaのバーライザーで解決。

これだけでも十分だったのだが、だいぶ乗るのに慣れてきたあたりでシートも830mmのポジションにした。
試乗のときにも試していたのだが、このバイクは830mmの方が自然なポジションになる。

ローポジション(810mm)にすると、相対的に脚は窮屈になり、ハンドルは高く遠くなる。足つきは良くなるのでトレードオフだ。
このバイクは830mmにしても比較的足つきが良いので、選べる人は830mmにすると良いと思う。

……まあ、830mmの赤いアフリカツイン、もう買えないんだけどね……

売ってねえ

そう。
CRF1100Lのシート高830mmモデルは2022年モデルで絶版になっている。
2024年以降は870mm(850mmにも調節可能)のCRF1100L Sと840mm(820mm)のCRF1100L ASしかない。
しかも後者のASはガンダムみたいな色*3しかなく、少々オンロード寄りだ。

www.honda.co.jp

筆者はどうしても赤でオフロード寄りが良かった。
「そんなオフロード走らないだろ」と言われるかもだが、フロントタイヤ21インチはロマンなのだ。
分かる人だけ分かってくれ。

そしてたまたま新車で2022年モデルを売っている店を見つけて買うことができた。
中古も絶望的に売っていないので、これはもう運が良かった。
もし今どうしても新車で買うとなったら、870mmのSモデルをローダウンしてハイポジションで乗ると思う。
それくらい赤のアフリカツインが気に入っている。

DCTかMTか

アフリカツインにはDCTというモデルがある。
これは要はオートマで、エンストしない。
筆者はどちらも試乗したが、どちらも良かった。
だが勝手にシフトダウンすることに少々違和感があったことと、MTのほうがわずかに軽いことからMTにした。

林道

オフロードも全然走れる。
「オフロードバイクは軽さが正義」であり、CRF250Rallyの150kg強ですら重いと言われている中、下手なオンロードバイクより重い229kgのアフリカツインでオフロードは論外……
かと思ったら、意外なことに僕にとっては軽い林道であればCRF250Rallyよりも気軽に走れることがわかった。

もちろんガレガレの林道や泥まみれの林道はRallyで迷い込みかけたとき以外走っていない。
そんな林道はRallyでも行くべきではない。

アフリカツインで行ったのは剣山スーパー林道レベルのフラットなダートである。
それならばRallyよりも走りやすさを感じる。
エンジンと車体の安定感任せで「なんとかなれーーーーーッ!!!」と走ってしまうと、なんだかんだでなんとかなってしまうのである。

大鶴義丹がやべー勢いで林道を疾走している動画があってやべーな、と思っていたが、大なり小なりこんな走り方になる。
まあそれにしてもこの人はやべーなと思うけど……

www.youtube.com

とにかく、楽しい。
今後も下調べした上でいろんな林道に行きたいと思っている。

予想外だったこと

さて、前置きに比べてあっさりのインプレッションになってしまったが、なんか「本当にビビるレベルで乗りやすい」以外深いことは書かなくていいかなと思えてきたのである。
それがアフリカツインの本質だ。
同じシート高の中では足つきは良い方に思えるし、乗れば乗るほど好きになる。
みんな、アフリカツインに乗ろう。(雑)

質問はTwitterかコメントで投げてくれたら答えます。
最近あまりTwitter見てないので見逃したらごめんね。

x.com


一つだけ予想外だったことに触れて終わりにしよう。

このバイク……。

モテるのだ。
滅茶苦茶モテる。

おっさんに!!!!

もう10回以上「でっかいね!!!!」「デカいですね!!!」と声をかけられてる。
おっちゃんとか兄ちゃんに。
女性からは0である。

筆者が小柄だからなおさら目立つのかもしれない。
だが本当に想定外だった。
たまには女性にも声をかけてほしいとか思わなくもないが、これはこれで嫌いじゃないので是非声をかけて頂きたい。*4
身長161cmで↑の写真のようなCRF1100Lに乗っているやつがいたら九分九厘僕である。
そんなやつ他にいないとは言い切れないが、多分あまり多くないと思う。

まとめ

アフリカツインは最高やで。
ただ人は選ぶっぽいから試乗はしような。
↓は気に入らなかった人の例。

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男性で平均身長があれば絶対乗れるはず。
150cmの女性でも乗れる、とか迂闊なことは言えないけど、乗りたかったら起こしてみるだけでも試しにやってみたほうが良い。
女性で乗ってる人もいると聞いたことがある。
実際には見たこと無いけど……

*1:自分が乗ったのは非常に評判の悪いローシートモデルで、原田氏はローシートじゃないほうが良いと言っているので、自分も通常シートだったら何か変わったのかもしれない。が、とにかく試乗したときは限界を覚えた。

*2:ちなみに比較するとZ900RSのコーナリングは滅茶苦茶クセがあったなぁと思う

*3:この表現で最近赤を想像する人も増えたと思うが、ここでは白を意味する

*4:一度だけフェリーの時間が近づいてて焦っていたときに声をかけてもらったときは塩対応してしまったことがあるが、未だに申し訳なく思っている。