こんにちは、Mistirです。
昨年の7月か8月頃、Apple Musicで配信されていたのを偶然目にした、アニメ『はたらく細胞』のOP、"CheerS" をダウンロードしてみたことがClariSというアーティストとの出会いだった。
つまり、まだClariSというアーティストの曲を深く聴くようになってせいぜい半年強しか経っていない"にわか"ファンなのだが、正直……
ここまでハマるとは思っていなかった。
仕事がweb系のシステムエンジニアということもあり仕事中や通勤時間、あらゆる時間に音楽を聞き続けている。
ここ半年以上、Apple Musicでいろいろなアーティストの曲を聴いているが、時間で言うならばClariSの曲を聴いていた時間が他のアーティストの曲を聴いていた時間より圧倒的に長い。
とりあえず今のところリリースされている全てのアルバムとシングルを聴き込んでみて、なぜここまでハマってしまったのか考えてみた。
すると……
ある結論に思い至った。
……もったいぶるようだが、ClariSというアーティストについて、「その結論」に向かって語ろうと思う。
ClariSはデビューからもうすぐ10周年。ファン歴半年の僕など「にわかファン」にも程がある。
だから、ディープなファンの方は「こういうことを考えながら聴くファンもいるんだな」という程度にお読みいただきたい。
そしてもし明確な誤りがあれば、優しくご指摘いただけると嬉しい。
また、以前最新アルバムの"Fairy Party"について全曲レビューさせていただいているので、こちらの記事もお時間のある際にお読みいただけると嬉しい。
この記事で語りたいこと
もし僕が「一番好きな曲」ではなく、もし今のClariSの「全て」が詰まった曲を一曲挙げろと言われたら……
最新アルバムの後ろから2曲目の一曲。
"シニカルサスペンス" だと思っている。
(初めて使ってみたけどiTunesのリンクだと気軽に試聴できるから良いね)
ファンの方は「え?それなの?」と思われた方も多いかもしれない。
だが。
この一曲こそ僕がこの記事で語りたい「ある結論」を最も体現している一曲なのだ。
そのためには、時系列順にClariSというアーティストが辿った足跡を追いかける必要がある。猛烈に長くなるがご容赦ください。
前期ClariSについて
便宜上、2014年のメンバー:アリスの脱退までを「前期ClariS」と呼びたい。
必然的に2014-2019年のClariSを「後期ClariS」と呼ぶことになり、解散したアーティストを扱うようになってしまうが……
どうしても2014年前後について、分けずに語るわけにはいかないのだ。
ご容赦いただきたい。
なぜなら、たったの半年聴いた僕でさえ「アリスの脱退」というファクターの影響度があまりにも大きいものであったことが分かるからだ。
ファンにとっての影響は計り知れないものだったと察する。
そして、その前後の違いについて避けて語ることは、「ClariSというアーティストについて語らないこと」と等しいと思っている。
ということで、まずは「前期ClariS」について語らせていただきたい。
ClariSは、今に至るまで女性二人組のユニットだ。
前期のメンバーは、少し鼻にかかった声で歌うクララと、やや大人びた声質のアリス。
そんな二人のデビューシングルは、アニメファンなら必ず一度は聴いたことがあるであろう……
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』OPの"irony"だ。
名曲である。
そして、"前期ClariS" の特徴がこれでもかと詰まった曲だ。
クララというアーティストについては追々語るとして……
アリスは、結構不思議な歌手であるように思う。
クララより明らかに大人びた声質。
だけど、良くも悪くも少し不安定なのだ。
例えば『魔法少女まどか☆マギカ』劇場版のテーマソング "ルミナス" のサビ前の部分を歌っているのがアリスだけれど……
伸ばす低音にちょっと癖があるというか。
そしてこの頃は、クララも「十分な歌唱力がある」とはいえ、「抜群な歌唱力を誇るアーティスト」という感じでもない。
……気を悪くされたファンの方もいるかもしれませんが、誠実に語ることをお約束するので、最後までお読みいただけると嬉しいです。
さて、そんな二人組のユニットから結果的に何が生まれていたのかと言うと……
ちょっと背伸びした等身大中学生アイドル、というイメージだ。
意図的にClariS最大のスマッシュヒットである"コネクト"を後回しにするが……
"ちょっと背伸びした等身大中学生アイドル"、というイメージを念頭に置いて考えてみると、"irony"や『偽物語』のEDである"ナイショの話"には凄くぴったりなイメージだと思う。
なんというか。
凄く懐かしくなって、少し切なくなる。
それは僕がアニメオタクだからというだけじゃない。
間違いなく、ClariSのプロデュースサイドの「確信犯」なのだ。
※正しくは故意犯?細かいことは気にしない
ClariSはいつからか “新感覚☆レトロフューチャーポップユニット” というキャッチコピーで売られていたようで、この「レトロフューチャー」というキャッチコピーはなんというか……
ものすごく、奥深いキャッチコピーなのだ。
まるでClariSの10年後を先読みしていたかのような、恐るべきキャッチコピー。
この「レトロ感」はかなり様々な要素が複合して生まれているもので、かなり複雑なものだと僕は考えている。
少なくとも、前期ClariSに感じる「レトロ感」の正体は……
「ちょっと背伸びした感」が醸し出す「昔のアイドル感」であると、僕は分析している。
十分なクオリティなのに、どこか等身大で、懐かしい気持ちにさせてくれる。
そして、そんな二人を最大に活かすため、平成初期前後を意図的にリスペクトしたようなアイドルチックな名曲がどんどんプロデュースされていく。
そんな二人の歌に、僕らは恋をしないわけがない。
なんていうと、少し大げさだろうか。キモいって言わないで
例えば"ルミナス" B面の"Friends"なんてもうまさにそのど真ん中の曲だ。
はい〜青春〜!!!
圧倒的青春の雷雨が僕を打ちひしがれさせる!!!!
それから、"Wake Up"のB面、"泣かないよ"
泣かせるなよ。
さて。
意図的に"コネクト" を後回しにしたが、実のところ"コネクト"……というか、『まどマギ』のタイアップ曲が、ClariSを語る上では少し語りにくいのだ。
ClariSのタイアップ曲は大別すると、
- ラブコメ作品とのタイアップ
(『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の"irony"、 『ニセコイ』の"CLICK"などめちゃくちゃ多数) - バトル要素のある作品のタイアップで、ラブソング寄りの曲
(『AKIBA'S BEAT』の"again"、『クオリディア・コード』の"gravity"、『BEATLESS』の"PRIMALOVE") - その他のタイアップ
(『もやしもん リターンズ』の"Wake Up"、『はたらく細胞』の"CheerS")
※『はたらく細胞』はバトルアニメ?知らぬ
という感じだが、まどマギ系のタイアップ曲はどこにも属しておらず、「まどマギ系の曲」というジャンルとして語るしかないのである。
「その他」に分けるにはちょっと存在が大きすぎるし。
強いて言えば、後期ClariSの『クオリディア・コード』ED3である"clever" も分類不可能なのだが、コラボ曲のためか前期の文脈でも後期の文脈でも浮いている曲なので、少し避けたい。
ちなみに名曲か名曲でないかで言えば、超絶ウルトラ名曲である。
ひねくれたドライな歌詞と熱さ、シニカルでいて、同時に熱苦しい。
これを神曲と言わずしてなんと言う。もう百回は聴いた。
……時系列順に語ると言っとるだろうが!!!!!(戒め)
全然前に進まないので、『まどマギ』タイアップの話に戻らせていただきます。
『まどマギ』タイアップの曲は主に三曲。
"コネクト"、"ルミナス"、"カラフル" だ。
「主に」と言ったのは、これに追加して「まどかの裏テーマソング」である "プロミス" がファーストアルバムである 『BIRTHDAY』に収録されているからだ。
ゲッダン!
冗談です。こっちです。
で、これらの三曲 + 1は……
どれも超名曲なんだけど、ClariSというアーティストの中で今に至るまで「例外」の三曲だと思っている。
どれもこれも、完成されていて、もうClariS以外が歌うことなんて考えられない。
にも関わらず、少なくとも僕の印象では……ClariSというアーティストを時系列順に聴いていると、……
「ClariSの真骨頂」という感じではないのだ。
……否、違う。
これはこれで真骨頂なのだ、確実に。
だけど……
例えて言うならば。
"irony"が好きな方には
「え!? "reunion" も "ヒトリゴト"も聴きましょう!ハァハァ……」
とキモオタクムーブメントをキメられるのだが、"コネクト" が好きな方には
「ClariSを全部聴きましょう!!!!!!」
としか言えないというか。
「じゃあお前が思うClariSってなんなんだ?」と言われたら難しいんだけど……
ここから話をわかりやすくするため、「レトロフューチャーユニット」としてのClariSを3つの軸で語りたい。
前期ClariSから貫かれる3つの軸
僕の思うClariSの3つの軸とは……
- とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ
- ちょっとシュールなレトロポップ
- エモと非エモの間を行き来する曲
1, 2はともかく3はなんやねん!と思われたことだろう。
ゆっくり解説させてほしい。
1はわかりやすいだろう。
先程挙げた "ナイショの話"もそうだし、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『ニセコイ』のタイアップ曲はここに分類される。
2は、セカンドアルバムに収録された"ダイアリー"から始まる。
この曲から、「どこか不思議で、どこか懐かしい、ちょっとシュール(超現実的)な」曲がアルバムやシングルB面にちらほらと見え始める。
中毒性が凄い(小並感) 曲。
時系列順にそういった曲を並べていくと、どんどんどんどん脂が乗っていくのがよく分かるのだ。
そして、このアルバムのラストナンバーはまたしても『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のタイアップ曲 "reunion" なのだけれど、
このアルバムの「エンディング曲」は……
その一曲前に収録された曲だと思っている。
ClariSというアーティストの中で、最も僕が好きな曲(10曲くらいある)の中の一曲だ。
その曲の名は……
試聴グッジョブ!!!!!
サビ丸々収録ありがとう!!!!!
これが3.エモと非エモの間を行き来する曲の最初の一曲だと思っている。
解釈次第では、『まどマギ』系の曲はここに分類しても良いかもしれないけれど、やっぱり僕の中ではあの3 + 1曲は独自ジャンルっていうイメージが強すぎて、ちょっと保留で。
さて。
僕がここで言う「エモ」は、「エモい」という言葉とはちょっとだけ離れた、「感情が乗っている(エモーショナル)」という意味だ。
お分かりだろうか?この曲は、エモーショナルだ。確実にエモーショナルなのだ。
だが、エモーショナルになりすぎる一歩前に踏みとどまっているというか……!
そう、エモーショナルなんだけど、エモーショナル過ぎない。
この絶妙なバランス。
……僕は。
この辺りから、ClariSというアーティストに「貫禄」が生まれ始めていると考えている。
「貫禄」。
これは非常に難しい言葉だ。
例えば、歌唱力によってもたらされる「貫禄」もある。
『魔法使いの嫁』OPなんて、「歌唱力がもたらす貫禄の暴力」だ。台風だ。地震だ。
JUNNA 「Here」Music Video (short ver.)
だが、僕が言う「貫禄」は全くの別物。
なんというか、アーティストとしての……「脱皮」みたいなイメージ。
話がまた転がるが、僕は個人的にClariSに一番似ているアーティストは宇多田ヒカルなのではないか?と思っている。
そんな馬鹿な!と思われた方も多いかもしれないが、宇多田ヒカルも15歳でファーストシングルを出しており、後になるほどちょっとプログレッシブな要素のある名曲をアルバムでどんどん排出している。
宇多田ヒカルに深入りするつもりはないが……
この「最初から十分完成されていたのに、熟成とともに別の貫禄が増して、新たな魅力をどんどん提供してくれる」点は、確実にClariSが持っているものだ。
それを「これでもか!」ってほどぶつけてくれる曲が。
3rdアルバム、"PARTY TIME"のリードナンバー……
- ちょっとシュールなレトロポップ
- エモと非エモの間を行き来する曲
のどちらの要素も非常に強く持っている一曲。
ClariSというアーティストの中で、最も僕が好きな曲(10曲くらいある)の中の一曲だ。
二回目だなこれ。
試聴部分だけでもお分かり頂けるだろうか?
この「だんだん貫禄が増してきてる」感……!
単純にふたりとも歌唱力が上がってるし、プロデュースサイドもClariSの魅力をどんどん掘り下げていってくれている。
【追記】
3rdアルバム、"PARTY TIME"のリードナンバーは、公式にはこちらだそうです。
確かに卒業アルバムとして見るなら、こっちが確実にリードナンバーですねw
また、リードナンバー扱いするには"Time"はマニア向け曲というか……
【追記ここまで】
これは極めて主観的な感想に過ぎないが、ClariSのプロデュースサイドは、ClariSの正真正銘の大ファンなのだと思う。
ここで1.の
- とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ
にちょっと戻ってみる。
あまり有名ではない名曲だと、"reunion" シングルB面のこちら。
あぁ〜青春……
初期の青春ソングより明らかに「背伸び感」が良くも悪くも減っていると言うか、……なんかもう、安心感がある。母性すら感じる
だが、そんな脂が乗ってきたところで、残念ながらアリスの脱退により、前期ClariSはこのアルバムがラスト・アルバムになってしまう。
そんなラスト・アルバムの、エンディング曲。
2ndアルバムのラスト・ナンバーはタイアップ曲の"reunion" だったことはさっき触れた。
だが、3rdアルバムのラスト・ナンバーは正真正銘の非タイアップ曲。
そして……
正真正銘の、「エンディング曲」だ。
もうね。
これを名曲と呼ばないなら、この世に名曲なんて存在しない。
これは本当にフルで聴いてほしい。聴くべきだ。聴いてくれ。
……失礼、取り乱しました。礼を正します。
いや、この曲の何が良いってさ……
Cメロ後、Cサビのアリスソロパートですよ。
「たくさん泣いて たくさん笑った」のとこ。
ここ。ファン歴たったの半年の僕が聴くたび泣きそうになるんですよ。
っていうか今現在進行系で何回も聴き直して、泣いてますよ。
いったいどれだけのファンを泣かせたんだ。
最初、アリスは声が不安定って言ったじゃないですか。
でも、もう上手いとか下手とか、安定しているとか不安定とか、もうそういうベクトルのものですらないんですよ。
もうここの高音は、絶対に、絶対にアリスにだけのものなんですよ。
前期ClariSの、明らかな集大成の一曲。
……。
丸"山"ざぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ” ん"!!!!!!("orange"の作詞作曲編曲担当である丸山真由子氏、稀代の名曲メーカー)
……
丸"山"ざぁ”ぁ”ぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ” ん"!!!!!!
……本当に、ありがとうございます。本当に……ありがとうございます。
いつか届いてほしい。ありがとう。本当にありがとう。
……
……ふう。ちょっと冷静になります。
さて。前期ClariSについて語ったら6700字になりました。
これは……うん、一気に書くべきじゃないですね。
以前吉井和哉について語ったとき、1万2千字になったのですがそれを超えそうです。
↑この記事、長すぎてロードに時間かかるんですよ……
さすがにそれはマズイので、前後編に分けます。
まだ語りたいことの半分も語れていない。
後編もぜひお読みください。
【追記:公開しました】
お願いいたします。
お読みいただき、ありがとうございます。
ではまた次の記事でお会いしましょう。
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