こんにちは、Mistirです。
この記事は、
の続きです。
いよいよ、今の僕が認識しているClariSの最大の魅力について語りたいと思います。
……とはいえ、先はまだまだ長いので、ClariSの曲を聴きながらまったりお読みください。
後期ClariS(2014-)のこと
アリスの脱退後、新メンバーとしてカレンが加入する。
wikipedia曰く、
アリスの卒業後、ひとりだったクララの練習に付き合っていたことから、クララに指名されてClariS入りが決まった。
とのことだが……
そ、そんな馬鹿な……
何故って。
このカレン。
声質が、元メンバーのアリスによく似ているのだ。
その上で……
アリスにあった癖が少ない。
そして、端的に言って歌が上手い。(アリスと比べてどうこうという意味ではなく)
例えて言うなら、アリスが「背伸びしたお姉さん系」だとすると、カレンはストレートに「優しいお姉さん」だ。
……某バーチャルYouTuberに特定騒ぎがあったとき、印象的だったコメント。
「こんな天才が世の中に二人もいると思うと嫌だからこの人が中の人でいい」
……至言である。
今の僕も、それと全く同じ感想だ。
アリスとカレン。同じ音楽スクールにこんな天才が二人もいるわけがない。
……が。
とにもかくにも「新生ClariS」が誕生してしまったわけである。
そして、もともと歌唱力に脂が乗り始めていたクララと、「ストレートなお姉さん系」カレンのコンビネーションは、複雑な奇跡を呼び起こす……!
後期ClariSは割と最初から今に至るまで完成されているから、時系列はあまり気にせず語らせていただきます。
後期ClariSに「生まれてしまったもの」
過去の記事でも書いたのだけれど……
鼻にかかった声で歌うクララは、どんどん歌唱力が上がり……
なんていうか。色気が半端ないことになっていく。
声の艶めかしさ、艶やかさが、「中学生ユニット」なんていう出自を完全に忘れてしまうほどに。
ソロ曲であるLast Squallを聴いていただければよく分かる。
そして……
その艶やかさは。
裏に影を落としている。
そう。
初期には無かった……
「薄幸感」が、クララの声に生まれているのだ。
一方、カレンの大人びたお姉さんボイスは、その「薄幸感」を打ち消して……
……いない。
むしろ、カレンもどこか「薄幸感」がある。
この二人の薄幸感……なんなんだこれ!?
そして、明らかすぎるくらいにプロデュースサイドがそれに気付いている。
例えばこちら、「春」の曲を詰め込んだClariSのアルバムなんだけれど……
4曲のカバー曲のうち、後半の2曲。
松たか子の"明日、春が来たら"と……
松田聖子の"赤いスイートピー" だ。
……
カバー曲4曲のうち半分が20年以上前の曲って凄くないですか?
赤いスイートピーに至っては40年近く前ですよ。
もはや「レトロフューチャー」というより「純レトロ」ですよこんなのw
でも、滅茶苦茶魅力的なんですよ……
試聴部分だけでもいいので、"赤いスイートピー" 聴いてみてください……
二人とも、似合いすぎている……
永遠の名曲とはいえ……
この大コンプラ時代に「タバコの匂いのシャツにそっと寄りそうから」なんて歌わせてここまで似合う若手アーティスト、いる?
そう。
この「薄幸感」は、あまりにも……
ClariSがもともと抱えていた「レトロ感」と相性がいい。
前期ClariSは「結果的にレトロ感が出てる」って感じでしたが、後期ClariSはもう「レトロビーム」みたいなのを製作サイド含めて僕らに全力で浴びせてきます。
ただ、後期ClariSの何が凄いって、それを意図的に抑えていることもある……
そう。
実は後期ClariSは前期よりさらにバラエティ豊かな技巧派になっています。
名盤:4thアルバム "Fairy Castle" について語りながら追いかけてみましょう。
一曲目の『AKIBA'S BEAT』テーマソング、"again"。
前編で書きましたが、ClariSのタイアップは大別すると
- ラブコメ作品とのタイアップ
- バトル要素のある作品のタイアップで、ラブソング寄りの曲
- その他のタイアップ
というイメージです。
それでですね。
僕はですね。
……2に属する曲が、好きで好きでしゃあないんですわ……
しかも、このアルバムには2に属する曲が2曲も含まれている。
※タイアップ収録曲"アネモネ"はClariSに珍しいねっとりした百合曲なのですが、明らかにアニメの内容を意識している曲のようで、『Classroom☆Crisis』未視聴なので触れておりません……
"again" は疾走感の中に、「薄幸感」……言い方が悪いので、「影」という言い方に変えましょうか。
疾走感の中に、少し影を潜ませながら、レトロな旋律を歌い上げる屈指の名曲。
最も好きな(以下略)です。
そしてこのアルバムに含まれるもう一曲の"2に属する"曲。
それが……
『クオリディア・コード』 ED1 "Gravity" 。
あー、もうホントこの曲好きすぎる……
だんだん疲れてきてるのか語彙力が減ってる気がしますが、最後まで駆け抜けます。
(前編と後編、ぶっ続けで書いてます……)
疾走感を通り越して、「浮遊感」すら感じる一曲。
何がこの曲凄いって、"again" にあった「影」や「レトロ感」がほとんどないんですよ。
ClariSというアーティストがベースとして持っている「影」はもちろん出てるんですが、それでもagainよりだいぶ抑えられている。
そして、熱いのに、あくまでもクールに歌い上げている。
……そう。
前編で触れました、「エモと非エモの間を行き来する曲」の究極形態……集大成のひとつなんです、僕にとってこの曲は。
"グラスプ" が好きな時点で僕はそういった曲が個人的に大好きなんだろうと思うんですが、もうホント、その観点で言うとこの曲はたまらない。
で、ですよ。
この"Gravity"を挟む2曲が本当に面白い。
"Gravity"の前にある曲、"ウソツキ"。
これも「エモと非エモの間を行き来する曲」なんですが、ちょっと「エモ」寄り。
クララの色気とカレンの優しさ、二人の「影」がこれでもかってほどに詰められた一曲。
そして"Gravity"の次の曲が……
これ、ぜひフルで聴いてほしいのですが……
あまりにもコッテコテすぎる小室サウンド過ぎて、もはや笑えます。
全盛期小室哲哉をさらにコッテリさせたような曲というか。
これ、2017年の曲ですよ……
前編で語った
- ちょっとシュールなレトロポップ
というよりは、もうなんか……
「まんまやんけ!」っていうレトロソング。
しかもそれを歌い上げるClariSがあまりにも「堂に入って」いる。
タイムトラベルでも経験してんのかよ……
……ちなみに。
散々絶賛してる"シニカルサスペンス" の直前に、インスト曲が挟まるんですが……
その曲が、
凄い確信犯ですw 笑うしかない。
さて、時系列はあまり気にしないとはいえ飛び過ぎなので4thアルバムの時期の話に戻ると……
アニメ:『Classroom☆Crisis』タイアップ曲の"アネモネ"のB面のこの曲。
これ初めて聴いたとき、滅茶苦茶笑いながら「あっwwwwwこの曲wwwwwwwすげぇ好きwwwwww」ってなりました。
- ちょっとシュールなレトロポップ
ど真ん中で、何より二人の「影」がすげー良い感じに活かされてるんですよ。
で、
- エモと非エモの間を行き来する曲
って観点だと、サビ前のクララの「いつも」〜サビの適度な力の抜け方が、すっっっっっっっっっっっっごく良い。
この力の抜け方、「貫禄」としか言いようがない気がするんですよ。
冷静に考えたら、もうこの時点で5年目のプレイヤーですし、もうすぐ10年なんですよね……そりゃ熟成しますて。
この「肩の力の抜けた『貫禄』」のおかげで、ClariSっていうアーティストは凄く親しみやすいんです。
いつも引き合いに出すんですが、僕はGARNiDELiAというアーティストも好きです。
で、このGARNiDELiAというアーティスト、「貫禄」の方向性がClariSと真逆なんですよ。
GARNiDELiA 『SPEED STAR』-YouTube EDIT ver.-
ClariSを柔のアーティストだとすると、明らかに剛のアーティストと言うか。
ClariSを延々と聴き続けてしまうのは、多分この「肩の力の抜け方」にあるんだと今は思ってます。
さてさて。
ここまであまり語ってなかった
- とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパン
サンリオとタイアップした不思議な一曲、"Prism" もここに入ると思っています。
で、なんで僕が前編で解説したときにわざわざ「とにかく可愛い!!」の文言を入れたかっていうと……
後期ClariS、この方向性の曲を出すときは、びっくりするくらいに「影」を封じ込めてるんです。
「え、そんなことできるの?」ってレベルで。
上に挙げたPrismもそうなんですが、一番強烈なのが……
アニメ『終物語』ED "Shiori"のB面、こちらの曲。
こちらは原曲です。
ClariSファンの方も、まずは原曲を聴いていただきたい。
『カゲロウプロジェクト』でも有名なじん氏のプロデュースした一曲なのだけれど、ちょっと重めのギターとストリングが、疾走感を持って春奈るなの安定した歌声をサポートする……そんな曲だ。
で、こちらがClariS版。
……いや、これ……
できれば試聴部分だけじゃなくてイントロから聴いていただきたいのですが……
ClariS版を聴いてしまうと、原曲がちょっと重い愛を歌った曲にすら聞こえてしまう。
ClariS版のビッグバンドアレンジが上手く作用しているというのはもちろんあるのだけれど、それ以前に、これはもはや……
”kawaii”の暴力なのでは。
そうだ、これは"kawaii" の暴力だ。
- エモと非エモの間を行き来する
どころか、エモの部分を最大限に抑えて、そのステータスを全部"kawaii"に振り切っている……!
余談。ほぼ影はないんだけどClariSが歌うとなんか「このあと失恋しそう」感があるの、やっぱアーティストとしての個性かな……
あとこれも余談ですが、フル版のCメロ、クララのソロパート、「あの日あの時に〜涙を隠しながら」の部分、色気が隠しきれてないのが最高です……
……なんかただの声フェチの感想文みたいになってきたな……
で、この先にあるのがこの名曲ですよ。
ClariS 『ヒトリゴト』Music Video(Short Ver.)
はい、kawaiiの暴力。
これ聴き込んだ後に、デビューシングルの"irony"聴き直してみると、滅茶苦茶初々しくて、ちょっと野暮ったいんですよ。
もうそんな面影なんか微塵もなくて、「貫禄のアーティスト」としか言いようがないくらい完成してる。
……何度でも言うけど、よくこの状態のクララに引けを取らないカレンみたいな逸材見つけてきたな……
ちなみに、"irony"もセルフカバーしてるけど……
ClariS 『irony -2017-』リリックMV(Short Ver.)
初めて聴いたときの印象、正直に言うと……
「うわああああああ本人より上手いそっくりさんんんん!!!」でしたw
なんだろう、原曲にあった野暮ったさや不安定感が消えるとこうなるのかというか……
原曲が等身大中学生の気持ちを歌った曲だとすると、セルフカバーはなんていうか、高校生とか大学生になってから中学生の頃を思い出しながら歌ったくらいの差がある。
個人的にどっちが好きかと言えば、正直今のClariSの母性安心感に凄く惹かれてるので、セルフカバー版かなっていう感じです。
……さて。
最新アルバムである"Fairy Party"の全体像 については過去記事で散々語ったのでスキップするとして。
さあ、やっとこさ結論の一曲について語りましょう。
ClariSは、○○である。
さて、改めて並べてみると
- とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ
- ちょっとシュールなレトロポップ
- エモと非エモの間を行き来する曲
のうち、1はタイアップ曲によく見られる特徴として……
非タイアップ曲に2や3の傾向がよく見られる。
で。
この"シニカルサスペンス"という曲……
2と3の要素、それからこの記事冒頭で語らせていただいた「影」(薄幸感)、そしてプロデュースサイドでゴリゴリ推し進められる「レトロ感」……
全部全部あるだけ詰め込みましょう、という曲なんです。
過去記事で「昭和歌謡かよ!」って突っ込んでるんですが、やっぱり何度聴いても昭和歌謡にしか聞こえない……
そしてあまりにも中毒性が高い。
クララの声の艶めかしさは特にコブシを効かせているわけでもないのに、何故か演歌風に聞こえてしまう。
それに応じるカレンの落ち着いた声。
……この"シニカルサスペンス"について考え続けて。
僕の頭に。こんな言葉が浮かんでしまった。
ClariSは。
可愛すぎる未亡人である。
……。
……大丈夫かな、これ。ファンに夜道で刺されない?
……いや、でもですよ。
"シニカルサスペンス"、貫禄も色気も雰囲気も全部ありすぎて、これもはや未亡人のそれですよ。
言い換えると、もうなんか表現力とかがオーバーフローしてて、二人とも旦那さん亡くなってるくらいの経験してんじゃないの……?くらいのレベルに達してると言うか。
……そういえば「未亡人」って放送できない用語らしいけど、まぁそれは忘れてください……
はい。
前編と合わせて14000字くらいになりましたが、「ClariSは可愛い未亡人」、このクソしょうもない一言を伝えるためだけに全力を出したらこうなってしまいました。
ちなみに。
"シニカルサスペンス"の次の"Fairy Party" に移行する時に
ClariS 『Fairy Party』MusicVideo(YouTube EDIT)
プロデュースサイドの「…やり過ぎた…」って心の声が聞こえるのは僕だけでいいです。
むしろ「いいぞもっとやったろ」って感じなんでしょうか。どうなんでしょうか。
少なくとも、"シニカルサスペンス"直後に"Fairy Party"を置いたのは(いい意味での)釈明に聞こえると言うか……
僕としては、このメッセージだけをお送りしたいです。
いいぞ
もっと
やれ
まとめ
なんていうか、語りきった感あります。
この記事で触れきれなかった曲は多いのですが、それはまたいつの日か。
僕は繰り返すように「にわかファン」なので、ディープなファンの方からご意見ご感想等いただけると励みになります。
お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。