Midnight Note

明日はどこまで行こうか。どこまで行けるだろうか。

不登校を肯定した上で、ゆたぼんを肯定できない理由

こんにちは、Mistirです。

最近、ブログで語りたくない。
少し人生に燃え尽き気味で何もかも猛烈に面倒くさい。

ネットで話題のことについてならなおさらだ。

いくら語ってもすぐに忘れ去られていく。

そんな中、時折話題になっては消えていく「不登校YouTuber」のゆたぼん。

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話題にしてはならない。
彼というより、おそらく彼の親は話題を作りたいだけだ。

だけど、彼と彼に対する反応についてどうしても語りたいことがある。
少しだけ聞いて欲しい。

 

僕は不登校を肯定する

彼を批判するコメントで時折見かけたのが、彼の不登校そのものを……あるいは不登校そのものを非難する論調だ。
例えば「本当に不登校の人に失礼」とか。
「不登校ではなく、ずる休みに過ぎない」とか。

だけど僕は、「不登校になる」ハードルは極限まで下げられていいと思う。というより、下げられるべきだ。

理由は主観的な話になるけれど、社会人になって毎日仕事をしている今よりも、あるいは社会人になって毎日仕事をしていて最も辛かった日々よりも、小学校の頃の方が圧倒的に辛かったから……
逃げられなかったあの頃の辛さを今でも思い出すからだ。

何があったかは言わないけれど、僕はたまたま、運良く死ななかっただけ。殺されなかっただけ。
そう思っている。

僕を限界ギリギリまで追いやったのは親であり、学校であり、先生だ。
早熟な人間にも未熟な人間にも極めて平等に稚拙を押し付けるあの空間と、そこに集まる有象無象だ。

……と言うと、僕個人の話に収まってしまうけれど……

そもそも、僕がなぜそれでも学校に通い続けたのか?

理屈で考えても分かるだろう。
大人ですら明らかなブラック企業から逃れられなくて、自死を選んだり、殺されたりする。

子供なら、なおさら。
それは当然じゃないか?

大人ですらブラック企業の閉じた世界を「逃げ道がない」と思い込んでしまうのだ。

いわんや子供が……
決して全てじゃない「親」を、「学校」を、「有象無象」を、全てだと思いこむ。
「この地獄には逃げ道がない」と思い込んでしまう。
ごくごく些細なことで追い詰められてしまう。
自明じゃないか?

キツい言い方だけど、そのことに思い至らない人は。
……よっぽど幸せだったんだろうな、としか思えない。
あるいは、よっぽど想像力がないか。
あるいは、その両方。

だから僕にとって極論、「不登校」のハードルを下げる発言はすべて肯定の対象だし、本意にせよ不本意にせよ「もっともっと辛い思いをしてもっともっと限界まで追い込まれて、そのときにやっと不登校は許される」というニュアンスの発言をする人間のことを、僕は断固として否定する。

その点で言えば、僕はゆたぼんの行為を肯定することになる。
……ゆたぼんのやってること、結果的に不登校のハードル上げてない?っていう議論は泥沼化するのでやめておこう。

さらに言えば……これは、僕の中におそらく残っているであろう最低限の誠実さを担保するためにわざわざ言うのだけれど。

もし不登校のハードルが極限まで下げられることで10人が救われて、10000人「結果として学校に通わなくなり不幸になった子供」が生まれたとしても、僕は同じことを言うだろう。

僕は正義の味方じゃない。

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呪術廻戦 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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まぁ↑の画像貼りたかっただけ、っていうのもあるけど真面目な話。

僕は正義の味方じゃない。
僕と同じ境遇だった人間の味方で、僕が嫌いだった想像力がない「幸福な」方々の敵だ。
それだけは強く言っておきたい。

……で、だ。

ここからは全く別の話になる。
ゆたぼんがやっていること、あるいはやらされていることについて。
ここまでの否定的論旨が、実はぴったり彼(と、その親) にも当てはまってしまう、という問題だ。

「ググれば全て解決する」←これは○○にのみ許された発言だ

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話題になっていたのは、彼の「漢字はググるだけでいい」「計算も電卓でいい」という発言だ。

正直、その是非はどうでもいい。

正論ならいくらでも言える。「消費税もいちいち電卓で計算するの?」とか、「ベースとなる知識があるからググれる」だとか。
それは他の人に任せる。

僕が気になったのは、この発言が……

そもそもホリエモンあたりの言っていることとまんま同じであることだ

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いや、ホリエモンじゃなかったかな……
とにかくその系列。
ビジネス系の成功者が言っていたはず。
というか、そもそも全然目新しい発言じゃない。目新しい発言なら誰が言ってるか覚えてる。

余談だが僕はホリエモンがそこまで嫌いじゃない。
むしろ割とファンだ。

某社の社長がTwitterでお金をばら撒いたときに「みんな夢があっていい」みたいなことを言ってたときはあまりのおぞましさに背筋が凍ったが、良くも悪くもホリエモンはそういった欺瞞は言わない。
そのあたりの天然臭が僕には心地いい。
他のビジネス系の方々にありがちな欺瞞がホリエモンには異様に少ない。それが彼をトップランナーたらしめている証拠だと思っている。

閑話休題。

結論を言えば、「漢字はググるだけでいい」「計算も電卓でいい」という考え方は……

ただの成功者が言い放つ無責任な発言だ。

現実には因数分解が微塵も出来なくて後悔してるやつは山程いるだろうし、僕なんかゴリゴリの文学部卒なのに今線形代数を勉強している。
筆者Mistir:ブロガー (正体はフリーランスエンジニア)

別の話になるが、例えばホリエモンは「東大なんか誰でも入れる」という。東大に入学した彼は、そう言う。

僕は彼が嫌いではないけれど、この「誰でもできる」という言い方は途方もなく嫌いだ。
そりゃ僕も個人的な感情で言えば「正しい方法で勉強した高校生なら誰でもセンター試験5割は取れる」は是か非かで言えば是だと思うし、「誰でも息ができる」すら言えないかという話になってくるともうわけがわからなくなる。

それでも、成功者が言う「誰でもできる」を僕は途方もなく嫌っている。

誰でもできるわけねーじゃん。
人にはできることとできないことがある。
そんな「誰でもわかる」ことさえ「わからない」んだから「誰でもできる」なんてこと気楽に言いなさんな。

「三島由紀夫でもできたんだからお前にも腹切れるはずだ」とか言っちゃうぞ。大人気ないけど。

それはそうと、先程わざわざ避けた議論に足を踏み入れてしまうからあまり言いたくないのだけれど、「調べればいい」は他の能力が充足して食うに困らなくなってようやく言える絵空事だと思っている。
「誰でもできる」も同じだ。
できたから言えるのだ。
できなかったやつは言えない。

何が嫌いって、この手の発言って「できなかったやつ」「それさえやればよかったわけではなかったやつ」の発言を完全に封殺するのだ。
死人に口なし、ならぬ「敗者に口なし」だ。
「それはお前が考えてこなかっただけ」「正しい努力が足りなかっただけ」、無限の正論で無限の完封勝利。
はー、しょうもない。

そんなわけで僕は成功者の発言を、どんな属性であれ一歩置いて考えるようにしている。

……そろそろ、話をゆたぼんに戻す。

僕は基本的に子供っていうのは大人が思うよりいろいろ考えてると思ってるし、そのスタンスで接している。
子供は大人が思うよりも大人を見ている。

それを重々承知した上で、彼が「成功者」目線に立っていること、あるいは立たされていることについて、僕は微塵も肯定できない。

そこには想像力がないんだもん。明らかに。

もっとも、彼は「言わされてるだけ」かもしれない。
子供の言っていることに一々突っかかることも無いのかもしれない。

だけどさぁ。
「鵜呑みにするな」と教えること。
バズに流されず、本質を (見ることができなくても) 見つめようとする態度を育てること。
それこそが「教育」じゃないの?

きついこと言うけど、これは一種の教育放棄の現場を見せられているわけで、そりゃ議論も紛糾するわと思う。

……まぁ、もし……万が一……
彼が自分で (少なくとも直接的に伝えられたわけではなく、自分で調べた結果として)「わからなければググればいい」っていう発想に至ったのなら……
いや、仮にそうではなかったにせよ。

……ここからは僕の完全な、極めて個人的なやり方だけど……

多分、税理士試験か公認会計士試験あたりの1級の過去問を印刷して、やってもらうと思う。
彼が何歳でも関係ない。

ギブアップするまで真剣に問いてもらう。

もし無理だったら。
2級、3級とだんだん下げて、SPIの過去問と下げていく。
最終的にどこに落ち着くかはわからないけど、とにかく下げていく。

で、「この試験でこの点がこの時間で取れて、やっとお給料これだけ(おそらくその時点だと平均的な給与より大幅に下だろう) の『入り口』だね」と伝える。

僕は多分本当にやるだろうな。
というより、「勉強なんで大事なの?」って言われたらこれすりゃいいじゃん、と思っている。






……結婚の予定?ないです。



酷いオチやめろや。



お読みいただきありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。


……オチやめろや……