こんにちは、Mistirです。
僕が音楽を語ると、過剰に熱が入ってしまう自覚がある。
今までその過剰な熱の餌食になってきたのはClariSと吉井和哉だった。
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そして今、3組目の被害者となろうとしているのが……
fhánaだ。
fhánaの何に惚れているのか。
例えば今まで、僕がClariSを好きな理由は「可愛さの中に潜む薄幸さ加減と異様なレトロ感」、吉井和哉を好きな理由は「自分自身に語りかけているような切実さ」だった。
fhánaの魅力を一言で表すと、こうだ。
「全てを覆い尽くす旋律と歌声」。
その意味を、fhánaを代表する3曲を主軸にして今から語らせて欲しい。
1. 青空のラプソディ
fhána / 青空のラプソディ - MUSIC VIDEO
君と出会い世界は 花束に溢れた
『小林さんちのメイドラゴン』OP曲。
正直、これを一曲目には挙げたくない。
これは例えば……「筒井康隆の代表作は?」の回答に『時をかける少女』を挙げるようなもので、代表作ではあるのだけれど、「最もその作者らしいか」と言えば決してど真ん中とは言えないという、そんな作品だからだ。
だけどこの曲をどうしても冒頭に持って来たかった。
残り2曲を語るために、どうしても1曲目は「豪速球であり、変化球である」この曲を語らなければならなかった。
シンプルに僕はこういう「底抜けに明るいのにちょっとだけ影があって、でもその影すら音楽が飲み込んでる」っていう曲に弱い。
途方もなく、弱い。
アニソンでこれに該当するのは他にtryseilの『adrenaline!!!』が思い浮かぶのだけれど……
TrySail 『adrenaline!!!』-Music Video YouTube EDIT ver.-
fhánaに関しては、最初に「全てを覆い尽くす旋律と歌声」と表現したように、「旋律と歌声が、こちらに有無を言わせてこない」という、そういった凄みがあるのだ。
……とはいえ。
『青空のラプソディ』だけ聞いていても、それは分からないと思う。
僕も最初聴いたとき「あ、この曲好きだなぁ」とは思ったけれど、それほどハマり込んだわけではなかった。
残り2曲を聴いた後に『青空のラプソディ』に戻って貰えれば、言いたいことが伝わると思う。
2. 僕を見つけて
fhána「僕を見つけて」(TVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』エンディング・テーマ)MUSIC VIDEO
今君から離れて旅立とう
壮大なストリングスに、2分間のアウトロを除き驚くほどギミックも小細工もない、信じられないほど王道、ド直球のバラード。
初めて聴いたときの感想は率直に「この曲に耐えうるアニメ存在するのか……!?」だった。
タイアップの『ナカノヒトゲノム』は観ねばと思いつつ観られていない……
さて。
腐っても僕、Mistirはブロガーであり、それでいてブログの目的とは、一言で言えば手練手管を下し、語彙を総動員した上で「何かを語る」ことだ。
上に引用した過去記事では吉井和哉について1万数千字で語っている。
その上で、言いたい。
……「こんなええ曲、ある!?」と。
もうただただ、途方もなく、良い曲。
凄い曲。
「語りきれないほど良い曲」なんていう言葉をレビューで使っても良いものだろうか?
否、ダメだと思う。
それでも。
何を語ろうと、この音楽には勝てない。
それって語り手の敗北でしょ?と思われるかもしれないが……
この曲には負けていい。
本望だ。
「とんでもないギミック」だとか「バックグラウンド」、あるいは「技工」で惹きつけてくる曲が、僕は大好きだ。
それこそ過去記事で語ったClariSの『summer delay』はそんな曲だった。
だけどこの曲に関しては、例えばfhánaというアーティストについて知っている必要も、考える必要すらもない。
ただただ、小細工も何もない美しさの旋律で、誰も否定できない純粋な「レクイエム」を歌い上げている、その事実に戦慄するだけでいい。
アウトロの超展開も、この曲以外では絶対にできないだろう。
旋律や歌声の美しさが展開に全く負けてないというか……
アウトロに込められる怒涛のエモーションの総量が、きっちりそれまでの展開と釣り合っている。
さて。
これほど絶賛して最後に一体何を紹介しようと言うのだろう?
予め断っておくけれど、「ベスト3」を紹介したいわけではない。
3位、2位、1位という順番ではないということだ。
純粋な「良い曲」の圧の大きさで言うならば『僕を見つけて』が最大かもしれない。
だけど、fhánaというアーティストに畏敬の念を抱くきっかけとなり、未だにその影響から逃れきれないこの曲を最後に置かないわけにはいかなかった。
3. 星屑のインターリュード
fhána「星屑のインターリュード」 (TVアニメ『天体のメソッド』ED主題歌) MUSIC VIDEO
interlude 君は踊る 舞台に花びらが舞い
ああそしていつかそれぞれの 幕を引き旅立つ
「天体のメソッド」ED曲。
『僕を見つけて』が「こんなええ曲、ある!?」だとすると、この曲は……
「こんな綺麗な曲ある……?」だ。
一度聴いた後、歌詞だけ読んでみて欲しい。
結構不穏なのだ。
これはタイアップしている『天体のメソッド』に沿った内容と言えばそれまでなのだけれど、注目すべきはそこよりも……
旋律と歌声の美しさが、不穏を全て希望に変えていることだ。
少なくとも僕は今までこんなアニソンに出会ったことはなかった。
現代風のストリングス、少しレトロな進行、エモーショナルな歌声……
シンプルに好きな要素が勢揃いだったと言えばそれまでなのだけれど、この曲にはそれ以上の何かを感じた。
言葉の先にある音楽の凄みに、音楽とその音楽の中にある言葉だけでたどり着いている……
未だに怖い。
いつか終わりの日が来る そう感じさせるよ
……なんていう歌詞を、こんな美しさに乗せられては……
音楽の前の言葉の無力さを感じずにはいられない。
だけど同時に……
それは、決して不快なものではない。
終わりに
僕が音楽を語ると褒め殺しみたいになってしまう……とたまに言われるのだけれど、凄い音楽に対して手を変え品を変え「凄い」と語ることに、僕は一切罪悪感を覚えない。
僕の絶賛など、本当に良い音楽の前には無力だと知っているからだ。
そして僕はその無力を、喜んで受け入れる。
それが音楽に対する敬意ともなるから。
ただ、僕の言葉によって音楽の魅力が半分も伝わらないのだけは残念でならない。
だから、僕が貼ったYouTubeのリンクから聴いてみて欲しい。
そして僕の言葉なんかどうでもいいと、そう思って欲しい。
半分も魅力を伝えきれていないと、そう感じて欲しい。
それくらいの力を音楽にブチ込んでくるアーティスト……
それが、僕の知るfhánaというグループだ。
お読み頂きありがとうございました。
ではまた。