こんにちは、Mistirです。
今。
猛烈に「熱く」、そして猛烈に「冷えた」アニメがある。
ある者はそのアニメに呆れ。
ある者はそのアニメに呆れながら熱狂し。
またある者は、そのアニメに呆れながら軽蔑する。
そしてまたある者は、そのアニメに呆れながらーー
気付いたら10話近く見てしまった。俺だよ
そのアニメの名は。
『異世界はスマートフォンとともに。』通称『将棋』『いせスマ』『異世界スマホ』だ。
色々な意味で一部界隈に話題の、この作品。
一体このアニメは何なのだろう?
一体僕らは、「何」を見せられているーー?
さあ。語ろう。
僕らは今、伝説を目の当たりにしているのだから。
まずは見ろ。話はそれからだ。
まずは第一話を見て欲しい。
見るのが面倒くさいと思うだろう。
興味が無いだろう。
でも、見て欲しい。
きっと見たことを後悔するから。
見ましたか?
見てないでしょう。
見るまで貼りますからね。
もう10分だけで良いから見て。もう最悪5分でいいから。ホント。
念のためもう一度
見ましたか?
……どう思いましたか?
第1話だけで判断しても問題ありません。
大体、第1話を見たときの感情が何話を見ようとも継続します。
ある意味出来の良い第一話なんですよ。
このアニメがどういう路線なのかほぼ完全に把握できる。
だが、決して勘違いしてはいけない。
このアニメは「異世界を現代世界のデバイスであるスマートフォンで切り開く」という内容……
ーーじゃない。
スマホなんておまけだ。というかぶっちゃけ要らない。
「神にもらったチート能力でどんな困難も主人公は秒で解決し、何をしようとも女の子たちは主人公を褒め称え続ける」
主人公は身体能力が大幅にアップしてるし、個人の才能に依存するはずの全ての無属性魔法が使える。
そんな「さいきょうのしゅじんこう」を、とにかく女の子はみんな大好きになる。
やったね!
そんな。
そんな内容を延々と見せられ続ける。
……。
………問いたい。
……なにこれ?
「物語」ってなんだろう?
「物語」、とりわけエンタメには決まった型がある。
「こう作れば面白い」というのは大体決まっているわけだ。
逆にそれを分かった上で明らかに「逸脱」するのも物語の面白さだったりする。
僕が好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで仕方ないアニメに『聖剣使いの禁呪詠唱(ワールドブレイク)』というアニメがある。
ものは試しに「神クソアニメ」で検索してみて欲しい。
検索結果の中にたくさんの「ワルブレ」「聖剣使い」という文字列を見つけることができるだろう。
そう、それほど有名な「神クソアニメ」なのだ。
※余談だが、「神クソアニメ」の記事を書いたのは僕だ
さて、少しだけ「逸脱」するが『ワルブレ』について語ってみよう。
実はこのアニメ、説明するだけで1万字は超えてしまうのだが……
端的に言って、あまりにも面白い。
……否、それを否定する人もいる。
人によって結構評価が異なるアニメだ。
あらすじをざっと説明すると、
「前世があるのが当たり前の世界!主人公は2つの前世を持つから超最強!超強い!ヒロインは前世の嫁!」
……という物語だ。
PVの完成度が良くも悪くも高いので、見て頂きたい。
まぁ、一言で言ってとっても頭悪い。
だからなんだか、作中で語られる説明も上滑りしてて、第一話段階では心底「面白くない」と思う人も多かったようです。
ちなみに僕は第一話で興奮を抑えられなかった。「逸材が現れた」と……!
さて。何の話かといえば、「物語の型」の話だ。
実は……このアニメはめちゃくちゃ型に忠実である。
①ヒロインや主人公がピンチに陥る
↓
②壮大なBGMがかかって主人公が前世を思い出す
↓
③「思い……出した!」の決め台詞
↓
④主人公が敵を圧倒
このパターンからほとんど逸脱しない。
逸脱する場合も、ヒロインが代わりに思い出したりと基本に忠実だ。
しかも、このパターンを守りつつも、「ピンチ打破」の勢いはインフレしていく。
最初は「大蛇を爆発で中から焼き殺す」だったのが、「山を2つ3つ相手や地形ごと凍らせる」といったようにインフレする。
そう。
端的に言えば……
「テンションがおかしい暴れん坊将軍」なのだ。
暴れん坊将軍の「服をはだけてBGMが流れて勝つ」安心感とものすごく近い。
……ん?『遠山の金さん』と混ざってる?
とにかく、『ワルブレ』はそんな安心できるパターンを異常なテンションで繰り返すのだから、だんだん笑えて仕方なくなってくる。
このアニメが何故ここまで笑えるのか分析した素晴らしい記事があるので、お時間のある方は目を通して頂きたい。
……さあ。
やっとこさ話を戻そう。
『異世界スマホ』の話だ。
たまに「『ワルブレ』と似ている」という方がいる。
だが……
根本的に、違う。
『ワルブレ』あるいは『暴れん坊将軍』は、確かにピンチや困難に対する解決方法が「ワンパターン」ではある。
だがその「ワンパターン」までに至る筋道や、「逸脱」をこそ楽しむことができる。
圧倒的な力で主人公(上様)が蹂躙してくれると信じられるからこそ、敵の悪事も楽しく眺められる。楽しい。
ならば『異世界スマホ』はどうか?
同じではないのか?
確かに。
表面的には、異世界スマホは「物語の(近年のアニメ、スマホの)型」に忠実な……なんというか、「物語のいいとこ取り」なのだ。
困難はスカッと主人公が解決する。
スカッと解決して、かわいい女の子にモテる。
……何がおかしいというのだろうか?
簡単な話だ。
僕らは、脂の乗ったトロを食べたいのであって、トロから脂を抽出して飲み干したいわけではないのだ。
プロセスが適当すぎるのである。
はっきり言って第一話の「金貨一枚で買い戻したあと像をぶっ壊す」なんて展開、まだマシで……
このレベル、これより酷いレベルの描写がたくさん見られ、その都度主人公は女の子にモテていく。周りから評価されていく。
主人公の性格というのもまた全然理解出来ない。
物語が達観した主人公を求めれば悟りを開いたような性格になり(1話冒頭の主人公だ)、物語がスケベシーンを求めれば急に主人公はスケベになる。
かと思えば、急にカッコつけたような行動に走ったり、急にドン引きするほど容赦なくなったりする。
……まったく感情移入できないのだ。
主人公もヒロインも、全然感情移入できないせいで名前を覚えている人が極めて少ない。
主人公は通称「スマホ太郎」と呼ばれ初めている。
※一部の人がヒロインを「オ○ホ花子」と呼んでいたがあまりにも酷い気がする
そんな主人公が第三話で敵に放ったセリフ「まるで将棋だな」はちょっとした流行になった。
実はこの記事を書いたのは僕なのだが、なんだか他のアニメでもコメントされるくらいに変な流行り方をしてしまい、それはどうかと思ったので記事に警告を追記したという経緯がある
僕らは悩む。
僕らが見ているのは、何なのだ?「物語」なのか?それとも「結果の集合体」なのか?
……果たしてこのアニメは「面白くない」のか?
「もしかして面白いのか!?」(錯乱状態)
テンションが狂っているわけではなく、淡々としていてえらくまったりに見える。
にも関わらず、ことの発端と結論しか描かないため、結果的に異様にテンポが速い。
さぁ。忘れたあたりでワルブレのgifを見よう。
このgif、無加工で本編でもマジでこの速度である。
この異様なテンションがあるわけでもない。
……やっぱり、『異世界スマホ』って何なんだろうか?
一言で言えば「無」。
「虚無」。
なのだけれど…………
なんやかんやで一部で話題になるのは何故なのだろう?
「君は決して、裏切らない」
そんな「酷い」アニメの「異世界スマホ」だが。
とても良いところがある。
「裏切らない」のだ。
主人公はさいきょうでつよくてつよいし、かっこいいし、ひろいんはしゅじんこうがだいすき。
みんなしゅじんこうがだいすき。
さいきょうだし。
わーい!
……いや、たしかに馬鹿にしているが、馬鹿にできないのだ、これが。
……最近、裏切るアニメ多すぎるねん。
シナリオが大どんでん返し、などという意味だったら良いのだが……
最初に期待されていたものを最終回付近でゴロっとひっくり返す酷いアニメが結構ある。
具体的に名前は出さないが、前期アニメで「異世界の存在や国際世界と交渉し、時に大胆な行動を取りつつも互いの最適解を問い続ける」っていうテーマを少なくとも7話までは徹底してたアニメがあった。徹底しすぎていて地味なくらいだったけれど、猛烈に面白く、強烈な光を放っていた。
そのアニメの最終話はどうなったか。
美少女が暴力で全てを蹂躙して解決した。
僕の心は悲しみに包まれた。
お通夜になった。
『異世界スマホ』に少なくともそんな展開はありえない。
何故なら、裏切られて悲しむくらいの期待、誰もしていないから。
否。
多分、ここからメチャクチャ面白くなったら悲しむ人多いと思う。
……実際、少し面白くなってきたから相対的に面白くなくなったと、わからないようでわかることを言ってた人もいた気がする。病気だよそれ
本当に、良くも悪くも「なーにも考えずに見られる」。女の子は全員どっかで見たことあるデザインで可愛いし。
それに、「一切不快にならない」。
「不快なアニメ」ってなんやねん、と思われるかもしれないが、結構あるのだ。具体的には言わない。
【追記】
後でリンクを張ってます11話は結構不快ですが、「不快」のベクトルがやや異なります。
ここで念頭に置いている「不快感」は「キャラをいじめて笑いを取る」とか、そういった系統の「不快感」でした。
【追記ここまで】
まぁただ。
みんな疲れてるんだなぁ、って気はする。
パワーのあるアニメやパワーのある漫画って見てて疲れるのだ。
ジョジョとか結構体力使うし……
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『覚悟のススメ』なんて読む方に覚悟が求められる。
逆に『異世界スマホ』ほど疲れないアニメは本当に珍しい。
本当に……
ミネラルウォーターみたいなものなのかもしれない。
いや、ミネラルウォーターに失礼か。
とまぁ、褒めてるのか貶してるのかよくわからないけど、なんだかんだで僕は『異世界スマホ』が好きです。
だから今も見てます。なんか嫌いじゃないんだよなぁ。居酒屋で不味いお通しと粗悪な酒をちびちびと、何も考えずにまったり飲んでいるような……
うーん……
うん、とりあえず好きですよ。うん。
でもワルブレはもっと好きです!
~完~
もうちょっとだけ続くんじゃ
各方面を騒然とさせた第11話について語りました。
「ハーレムアニメ」とは何なのか。
「良質な物語」とは何なのか。
期せずしてそんな内容になりました。
ぜひお読みください。
mistclast.hatenablog.com
お読み頂きありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう……