「これまで読んだ中で一番好きな漫画は?」
そう聞かれたら、最近あまりにも面白い
『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに「強化ポイント」を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』
……と応えることも捨て難いのだが、あまりにも好き過ぎて、「これ」と断言せざるを得ない漫画がある。
というか、好きを通り越して崇拝している。
それが。
『ローカル女子の遠吠え』である。
あらすじを簡単に伝えると、東京で挫折した主人公であるりん子(↑の表紙の子)がUターンで出身地の静岡に戻って色々頑張る話、といったところだろうか。
3話までPixivコミックで無料公開されている。
ぜひ読んで欲しい。
確実に、こう思うだろう。
「これが一番??」と。
僕も他人に3話までをお出しされて「この漫画に救われた」「崇拝すらしている」とまで言われたら確実に「こいつなんか怖いぞ」となる。
この漫画……序盤も面白くないというわけではないのだが、序盤だけ「地方Uターンの世知辛さ」みたいなところにフォーカスされすぎてて、読んでて結構辛いのだ。
それに単純に作画がかなり違う。
例えば地方の頭ゆるふわ女子である桐島さん。
第1話より。単純にだいぶ性格が悪そうである。
そして9巻の桐島さん。
誰だ貴様!
……と、作画も漫画の方針も変わっていく。
具体的に言えば……
「地方特有の世知辛さ」は無くなりはしないものの影を潜め、その代わりに旅情、ローカル知識、人生、恋、キレッキレのギャグ、妙に辛辣なのに愛せる台詞回し、濃くて愛すべきキャラたち……
全ての要素がモリモリになっていく。
本当に全部入りの漫画なのである。
ネタバレになるので詳しくは言わないが、例えばこの「要領と地頭の良いチャラ男」。
3話より。
この一コマだけ出てくる男、激重高湿度の感情抱えてることが後々発覚し、地方出身者として滅茶苦茶共感してしまうのである。
ああああああもどかしい!!!!マジで全部伝えたい!!!
けど実際に読んでもらうのが一番だから深いことは言えない!!!
それにこのままだと画像貼り付けしたいところが多すぎて引用という名の無断転載になってしまう!
それくらい全部が好きなんすよ……*1
……結局、どこまで読めば路線が変わるのか?
実は1巻の終盤には路線が変わる。
というか中盤にはもう変わっているのだが、決定打になるのは終盤だと思っている。
騙されたと思ってこのあんまりにもおもしれー女である水馬さんが出てくるまで読んで欲しい。
「この漫画が本当に面白くなってくるのってどこだろう?」と思い返してみると、……水馬以前と以後だな、と思う。
「富士山過激派」というおそらくこの世で『ローカル女子の遠吠え』くらいにしか出てこない存在である。いや、他の漫画に「富士山過激派」が出たとしても水馬さんと「山梨のナイスミドル」には勝てない。山梨のナイスミドルってなんだよ。
5巻より。
もうこの人喋ってるだけで面白い。あとかわいい。
出るたびに山梨のナイスミドルと戦いを繰り広げるというバトル要素もある。
なお、山梨のナイスミドルは本名不詳で本編でも「山梨のナイスミドル」と呼ばれている。
ローカル女子次回予告 pic.twitter.com/ui7aa823UH
— 瀬戸口みづき (@setoguchimizuki) 2024年3月21日
ただ、悔しいのが……この漫画、通して読んでキャラを好きにならないと心からハマれないタイプの漫画なのだ。
でも保証する。読めば絶対に一人は推しキャラができる。
というか全員好きになってしまう。
それでも強いて言えば、筆者の推しは↑の水馬さん……ではなく、穂垂主任と例のチャラ男である。水馬さんも大好きだけど。
……。
辛い。なぜここまで言葉が出ないんだろう。
もっと語りたいのに。
人生で一番キツかったとき*2、本当に『ローカル女子の遠吠え』だけは何度でも読めた。本当に救われたのである。
でも、「なんで救われたか」の言語化がどうしても難しい。
『ローカル女子の遠吠え』の何が良いか?
あまりに魅力的すぎるキャラ、キレッキレのギャグと台詞回し、静岡への愛、……好きなところは山程あるのだけれど、「なんで?」と聞かれると困ってしまう。
ただ、笑いながらキャラ萌えしつつ、静岡の旅情に浸ってたら、凄い鋭角に人生をえぐってくるような話もあって、本当に何度読んでも飽きないのだ。
間違いなく言えるのは……
僕、多分この漫画が最終回迎えたら泣くし仕事休む。
あとこの漫画がアニメ化しても泣くし仕事休む。
頼む、読んでくれ。それで語ってくれ。
俺は今『ローカル女子の遠吠え』に飢えているんだ。
『めんつゆひとり飯』の話
そもそも筆者が『ローカル女子の遠吠え』を知ったのは、『めんつゆひとり飯』というタイトルだけ聞いたことのある作品が「異常百合漫画」と評されていることを知ったからだ。
主人公がイマジナリー同僚を脳内に飼っているし、同僚の脳内にはイマジナリー主人公がいる。
読んでみると、確かにこれは中々に異常。
主人公とその同僚だけでなく、登場人物ほぼ全員が脳内に何かを飼っている。
これを読んでみたあと、少し前にKindle Unlimitedでたまたま無料になっていた『ローカル女子の遠吠え』を読み、心底大好きになってしまったのだ。
今改めて『めんつゆひとり飯』を読み返すと様子がおかしい人が大量に出てきて滅茶苦茶楽しい。
そして『ローカル女子の遠吠え』と同じく全員愛しい。
さらにめんつゆレシピが頭の中に勝手にインプットされていく。楽しい。
ちなみに筆者の推しは主人公の姉である草子である。
ぜひ購入頂きたいのだが、可愛すぎるし、それだけでなく、なんというかエロい。
読めば分かるさ。
ドラマも観た。
漫画でも変に見える人が実写になると倍変な人に見えた。
だがみんなハマり役ばかりで素晴らしい作品である。
余談
「興味深いもの」「面白いもの」は語れるんだけど、「好きなもの」について語るのって本当に難しいね。
実は以前ClariSの『Iris』のレビューを書いたときも、かなり無理矢理言葉を絞り出した。
いや、これはもう多分……「信仰」に近いからなんだろうな。
なんでそんなクソデカ感情抱えてんの?って言われても、気付いたら抱えてたとしか言いようが無いのである。
改めて『ローカル女子の遠吠え』と『めんつゆひとり飯』で共通しているところを考えてみると、狂人は山程出てくるんだけど、首尾一貫、理路整然としてるというか、凄く理性的に作品を作ってるんだよね。
瀬戸口みづき氏が滅茶苦茶頭良い人なんだと思う。単純に『ローカル女子の遠吠え』を読んで頂くと分かるはずだけど、並大抵ではない取材量を感じられる。
それが理由なのかどうかはわからないけど、僕がこの漫画に癒やされてた頃は、理不尽なことに振り回されまくって心から疲れていたときだった。
今でもこの漫画を読むと本当に癒やされるし元気が出る。
理不尽なことに振り回されて疲れてる人、絶対読んだほうが良い。
ちょっとだけでも良いので、筆者のクソデカ感情を共有できれば幸甚である。